2006年08月10日

ワークショップ開始!!前半二日目 その2

前回に引き続き、ワークショップ前半2日目の様子です。映像編集の講義の裏で行われた先生対象の「著作権処理の実務」についてご紹介いたします。といってもここでは、これから生徒が作品を作って行くに当たって、どのような点に注意すればよいか、権利処理を始めるに当たって必要な情報は何かということの講義で、実践は後半になります。
 「権利処理」というといかめしいし、ややこしそうなんですが、フレームは至ってシンプルです。
 1.著作者を探す
 2.著作者が権利者団体に所属する場合は、申請書を提出。
   所属していない場合は、個別に交渉。
 3.OKされたら、使用料を支払う。無償の場合もある。
4.利用する。
この手順だけです。
この手順については直前の「権利処理WHYとHOW」で説明していますので、先生方にはもうちょっとつっこんだ内容をご紹介しました。先生方が学校で権利処理をするときにそのまま応用できるにはどうしたらよいか…。世の中にはあまたの著作物がありますから、それに応じたここの事象は対応できません。そこで、恐らくもっとも身近でもっとも利用したいと思い、かつ権利処理の体系が整っている著作物というと音楽になりますから、話の中心も「CDから楽曲を映像作品のBGMに使用する」という場合を中心に、映像の借用、それから肖像権についての実務的な作業を説明しました。
まずは音楽と映像の著作物に特異な条件です。
(1) 音楽の著作物の利用・・・映像のBGMに使う場合。
  楽曲の権利について調べるのに便利なJ-WID,音楽の森については、生徒対象の講義でも紹介しましたが、先生方にはさらに検索結果の見方についても解説しました。
 音楽の利用で忘れがちなのが、使用楽曲の収録されているCDの音源の処理です。「音楽ってJASRACでしょ」と思われる方も多いと思いますが、JASRAC等の「権利者団体」が許諾できるのは、楽曲の作詞と作曲、つまり音楽の著作物の部分だけ、演奏されている「音」の使用については、レコード会社に権利があります。レコード会社は著作隣接権者として、原盤の使用諾否の権利を持っています。
 楽曲を映像のBGMに使用するときは、さらに「どのような場面のBGMに使用するか」というのが大切になります。映像と音楽の組み合わせは、人に与える印象を全く異なるものにする力があります。従って楽曲をBGMに使用する際にはどのような使い方をするか、どのような場面に使用するかまで考えておく必要があります。
 交渉の前にあらかじめこれらの情報をきちんと収集し整理しておく事が必要です。
(2)映像の使用
 映像の借用は難しい、高いというのが一般的です。映像を使用したこと(特に放送局から映像を借用した経験)のある人)「なぜあんなに高いのか」と思われるかもしれません。 それにはかなり合理的な理由がありますが、それはいずれどこかでお話しするとしましょう。ただこれも交渉の余地のあるものです。
 映像の使用について注意が必要なのは、それが放送番組であった場合「放送番組」も著作物、番組を構成しているここの素材も著作物である可能性がある、つまり中身と器について両方権利処理の対象である可能性があるということです。例えば、ドラマがわかりやすいでしょう。「ドラマ」全体も一つの著作物(映画の著作物)ですが、ドラマを構成しているのは、原作・脚本・音楽・出演者等々です。ドラマ自体は制作した会社に権利がありますが、これらの方々の権利まで制作会社は許諾を出すことができません(出演者については可能な場合もあります)。
(3)肖像権
 肖像権は実は事前の説明会のときにお話をしています。
プライバシーについては学校では非常に厳しい取り扱いをしているので、取りこぼしはないとは思いましたが、撮影や編集に携わっている本人はついそちらに集中して、個人が特定できるような映像でも見落としがちになります。また俯瞰だからと油断することもあります。先生方には十分留意して頂けるようお願いしました。

 先生方は熱心で、質問も出ました。この講義の後、午後からはグループワークで使用する楽曲や映像の選定をします。なかなか学校ではこういう実践的な権利処理は必要性が薄いのですが、ワークショップ前半終了までに権利処理台帳をつくらなくてはならないので、具体的な質問もありました。
 後半のグループワークで先生が生徒にJ-Widの見方などを指導していたのを見かけました。講義の成果だとうれしいです。
 
 今年は前半2日目で編集や構成、借用著作物について非常に活発な活動が見られました。ものすごい熱気です。権利処理機構には次々質問が来ます。改めてCDを見直して、レコード会社が分からなかったり、レコード番号が分からなかったりと、実務を通して始めて気が付くこともあるようです。それでも著作者がJASRAC会員か否かはみんなきちんと調べてきたの、大変助かりました。

ようやく前半のレポートが終わったと思ったら、もう来週は後半です。
この間並行して権利処理を行ってきましたが、会社によって担当者によって対応様々です。このあたりも報告していきたいと思っています。

(え)
posted by 著作権イベント実行委員会 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 平成18年度実践!著作権

ワークショップ開始!!前半二日目 その1

遅くなりましたがワークショップ前半2日目の様子です。
二日目は午前中は講義、午後はグループワークになります。
講義二日目は著作権については「著作権処理:WHYとHOW・・」と「著作権処理台帳の書き方」のふたコマと、映像編集について一コマです。
映像編集の講義は生徒対象で、その時間先生には権利処理の実務についての講義を行います。

「権利処理:WHYとHOW」では、昨日の復習と権利処理をなぜする必要が有るのかというWHYと、どうしたらいいのかというHOWを説明します。
「権利処理が必要か」、これがまさに著作権があるからということに帰結するのですが、このことは通常の座学での教育ではわかりにくいものがあります。「著作権という排他的権利があるので、使用時には権利者の許諾が必要です」では、はぁそうですかというだけになりますが、ここで学んだことを実際に権利処理に結びつけることで、「権利」というものの具体的な姿を経験することが重要だとおもっています。
実は1日目の講義「著作権の基礎」では、著作物とは何かと言うことを中心説明し、著作権という権利の部分については説明をしていません。知識として理解するには著作権というのはあまりに抽象的で複雑で解りづらいからです。また参加者にとっては「著作権を学ぶ」ことについてはその動機付けが希薄です。参加者にとっては、具体的な行動(このワークショップでは「映像作品」を作ること)に不可欠なツールであるという認識の下で、著作権というものの存在が生きてくるのではないでしょうか。その意味においては、私はEDIUSの操作法の習得と著作権の知識の習得は同義であると思っています。
道具を使いこなすには、それがどんな道具であるかを知る必要がありますし、その上で、その道具の使い方、著作権で言えば、権利処理の方法を習得する必要があるわけです。
そのような主旨の下で、カリキュラムを構成しているので、二日目に権利処理をふまえながら、著作権についての講義を行いました。
なぜ?に続いて「どうすれば権利処理できるか」のHOWの部分は、実際に手続きをする際の、調査の仕方、交渉についでです。権利処理を経験したことのある人にはJ―WIDや「音楽の森」などはおなじみかもしれません。しかし権利処理したことがある人でも、音楽以外の著作物(文芸・シナリオ)にも同じような団体があることや、団体に加盟していない人の権利はどのようにすればよいかというところまでは、ご存じないと思います。このあたりを体験をふまえて、説明しました。
 このHOWの部分で調べた情報はすべて「権利台帳」に記載するように指導します。
台帳についてはテキストの付録に付けた台帳に、著作物毎(音楽・映像・その他)に権利者、借用元、連絡先、使用意図(使用する場面)、使用秒数等を記載するのですが、この書き方について、注意事項を含めて説明しました。

 ここまでが生徒と先生共に学習した内容の著作権についての講義です。次の時間は生徒は映像制作について、先生は権利処理実務についてそれぞれ分かれて講義を受けます。

 映像制作については、映像効果(エフェクト)、画面加工によって受ける印象がかわるということを、練習用データを使って体験させていきます。同じ場面でもBGMに付ける音楽によって印象が全く異なることや、映像効果を付けることで、インパクトがかわってくるなどは頭では解っている事ですが、実際に体験するとやはり驚きのようです。
 それから映像の構成について考えるために、それぞれの場面を記載したカードが配り、カードの配列を変えることによってもっともよい構成、つまり自分たちの主張をわかりやすく伝える構成にしていくという方法が解説されました。これはテレビ局などでも使われる手法で、単純ですが視覚的に全体をとらえられるので非常に有効な手法です。
残念ながら私は先生方向けの著作権の方の講義にいたので、この講義を受講できていないのですが、受講生の話や去年の様子からこんな感じだったようです。

 この映像制作の授業の裏で行われていた先生対象の「著作権処理の実務」の講義については次回お話しします。

(え)
 
posted by 著作権イベント実行委員会 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 平成18年度実践!著作権

2006年08月09日

ワークショップ開始!!前半一日目

いよいよ第2回「実践!著作権」ワークショップが始まりました。
前日迄台風の心配をしていましたが、何とかそれて、当日は快晴です。
ワークショップは前半2日、2週間ほどあけて後半3日の計5日間です。

 今年は、
兵庫県立洲本実業高等学校東浦分校、加古川市立平岡中学校、加古川市立加古川養護学校
神戸市立向洋中学校、神戸市立横尾中学校、
以上5校から、教師を含む4名程度のグループが参加しています。
 洲本実業高校、横尾中学校、向洋中学校は放送部の生徒、平岡中学校は学校のカリキュラムである「トライやるウィーク」の様子を取材した経験のある生徒です。
会場の兵庫県加古川市教育研究所(http://www.city.kakogawa.hyogo.jp/hp/kakogawaav/index.htm
は、バリアフリーなので、車椅子でも大丈夫ということで、加古川養護学校の生徒にも参加してもらえました。

8月9日と10日の前半カリキュラムでは、「映像表現について」の講義と著作権についての基礎的な講義「著作権って?」、そして編集ソフト「エディウス(カノープス社製)」の扱い方の講義です。一日で基礎的なことをすべて学ぶのですから、参加者はちょっと大変です。さらに、講義で学んだことを自分たちの作品にどう生かすか、考えていたシナリオや表現方法の変更などを考える、グループワーキングが続きます。とても中身の濃いカリキュラムですが、ここで基礎を学ぶことで、後半カリキュラムでの映像編集が生きてくるのです。
後半は28〜30日の3日間で権利処理をし、映像作品を仕上げます。
制作した作品は10月15日の「著作権フェア」で販売します。販売すると言うことは、人に買ってもらえるような、感動してもらえる作品にしなければいけません。参加生徒の課題は大きいですが、それらすべてを通して初めて「著作権とは何か」「他人の著作物とは何か」ということを、単なる知識ではなく体験として、理解するのが、このイベントの目的です。

さて、前半1日目。
 午前中に映像表現の講義が1コマ、著作権の基礎の講義が1コマあります。
まずは映像制作の表現方法を、「モデル映像作品から学ぶ」ということで、兵庫県立姫路工業高校デザイン科制作3DCGアニメ「tears」(ひょうごIT&A学生グランプリ グランプリ受賞 http://www.hyogo-c.ed.jp/~himeji-ths/whatsnew/2004/ITglanpuri/IT-G.htm)を例に、
人を感動させるとはどういうことか、どうやって表現すればよいかという講義がありました。他にも同校の生徒作品や市販DVDを視聴して表現することについて具体的で分かりやすい説明を受けました。
 講師の先生からは
「ここ(日本にいて、これだけ機材、人材に恵まれている状況)にいるということだけで、いいものが作れるという環境に既にいるという事に感謝して、ええもん作ってほしい。」
と、最初に感謝する心を忘れないようにというキーワードがあります。これは非常に重要なことなのです。おそらく著作権というものの根幹につながることではないかと私は思っています。
著作権の講義では、著作権についてすべてを学ぶことは難しいので、1日目は5つの単語を覚えること、2日目は権利処理の方法を解説することで、著作権についての基礎的な知識がわかるように講義が組まれています。5つの単語とは「著作物」「著作者」「著作者」「著楽隣接権者」「著作隣接権」の5つです。
 午後からは、映像表現の講義1コマと、編集ソフト「エディウス」の使用方法の講義が2コマです。
 エディウスの講義は、カノープスの先生が使用するソフト「EDIUS3」の利用方法をわかりやすく解説してくれました。各班には、それぞれインストール済みのPCが2台用意されています。ソフト全体の使用法を生徒は実際にPCを扱いながら学習していきます。編集テクニックや、エフェクトなどの他詳細は編集実務の時に必要に応じて教えてもらえるようになっています。
生徒は真剣です。でもそれより真剣なのは先生かも・・・。
その後はグループワークなので各班ごとに編集や借用物について検討します。各講師も巡回してアドバイスをしていきます。
とにかく編集作業になれることと、編集方法、シナリオなどを決定しないことには、使用する著作物などは出てこないので、著作権担当の講師はどちらかというと休憩中、編集担当の先生と映像表現指導の先生が大わらわです。
それに応じて、各班についているTA(ティーチングアシスタント)の大学生たちも大わらわです。

 前半初日、なかなかいいスタートです。

 ここ数日は、ワークショップの様子、権利処理の仮申請等についてこまめにUpしていきたいと思います。

(え)

posted by 著作権イベント実行委員会 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 平成18年度実践!著作権