2006年09月25日

権利処理の結果(映像その2)

 前回に続いて、映像使用の許諾についてです。神戸市環境局のDVDからの映像使用についてはこんな交渉がありました。
 神戸市では最近ゴミの6分別を開始したそうです。そこで、参加した1校が「私たちのゴミ分別」と題して、ゴミ分別と地球環境についての啓蒙作品の作成に取り組みました。そこで、分別対象となるゴミの種類、分別されたゴミのリサイクルの様子等の紹介映像が必要となりました。ちょうど同市でも分別の啓蒙映像作品を作成していましたので、そこから映像の借用を考えました。また、ゴミ分別の象徴としてのマスコットも使用したいと考えました。
 映像自体はすでにDVDを借りてきていましたが、視聴のためであり、映像を使用するということは伝えていません。そこでまずは映像を貸し出している課に連絡をします。そこで、当該映像の管理局をおしえていただき、改めて同局と交渉をしました。窓口では大変丁寧に対応して頂いたのですが、映像の借用というのは初めてのことだということで、いったん検討すると言うことになりました。さらに、使用したい映像が3種類あったのですが、それぞれ管轄が違うと言うこともわかりました。そこで改めて各管轄に連絡をします。しかもちょうどお盆のお休みの頃でしたので、連絡が間に合うか等かなり心配しました。
 結果は、教育目的であるということと、「ゴミ分別啓蒙作品」ということで、使用許諾を頂きました。さらに、映像を使用するためのDVDも貸していただきました。
 キャラクターについては、例えば「市と市が指定する第三者による使用を認める」等の契約があれば、市からの許諾だけで使用できますが、そうでなければ、デザイナーさんをご紹介いただき、使用に付交渉という手順を踏みます。今回は確認いただいたのですが、キャラクターデザインを依頼したデザイナーさんとの契約内容から、許諾は難しいということで、時間的制約もありましたので使用しないことになりました。
 また、分別されたゴミを回収し清掃局で処理をしている映像については、個人のプライバシーについて留意する事という条件がありました。市の啓蒙DVDでは撮影を許可した個人であっても、その映像が他で使用されることについてまで許諾しているわけではありませんので、個人が特定できるような映像使用をしないということは当然に厳守しなければなりません。うっかりすると「市に広報DVDなんだからいいんじゃいか」と思いがちです。恐らく公共放送の番組が自由に二次利用できないのはおかしいと思いたくなるのと同じだと思います。しかしこれらはあくまで「市の広報」「放送」ということだけを許諾しているのであり、それ以上の利用については改めて協議が必要なのです。その意味では、映像利用の方法として全く同じステップになります。
 一部後半ワークショップ中にも交渉が続いたところもあるのですが、映像については、ほぼ後半までにそろえることが出来ました。
 難関は音楽です。
 次回はこの楽曲の使用許諾についてお話ししたいと思います。

 (え)

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2006年09月24日

権利処理の結果(映像その1)

 これまでにも何度か記載しておりますが、著作物を利用する場合は、先に許諾を得る必要があります。おおよその作品構成が決まれば、使用したい楽曲や挿入したい映像等が絞り込まれてきます。この時点で申請するのが理想です。編集が終わらないと秒数や使用著作物が決定しないという意見もありますが、そもそも他人の著作物を利用するのですから、利用前に許諾を取るのが当然ですし、編集終了後の使用はそれこそ「無断使用」に該当します。この点を勘違いしている人は未だに多いので、改めて述べておきます。

 さて、ワークショップでは前半に使用を希望する著作物についてリストをもらっているのでそれらについて順番に処理していきます。今回は映像借用に付いての許諾状況をご紹介しましょう。
 いきなり「映像を挿入しなさい」といっても、なかなか難しいものです。そこで、ワークショップでは作品シナリオから使用しそうな映像というのを予測し、それに見合う映像を予め集めておき、そこから選択させるという手法をとっています。もちろん自分たちで使いたい映像がある場合は、それを申請してもらってもかまいません。
 通常、「映像の借用」は元素材からの利用が原則です。DVDの映像でも、元々が放送番組であれば、元々の放送番組素材から使用ということになり、放送局(場合によっては制作会社)から素材を「切り出して」もらうということになります。
 映像提供を依頼する際は、使用映像が確定している場合は番組名と映像の詳細を、そうでない場合は、キーワードを提示して、それに見合う映像をいくつか探してもらい、実際に自分で映像を確かめて(試写)使用映像を決定するというステップを踏みます。
 使用させる映像は、昨年同様NHK保存映像から選択することとし、予めNHKと使用料、素材提供方法等を協議しました。本イベントにご理解を頂き、映像利用に付、格段のご配慮を頂きましたこと、並びに、本来なら1週間以上掛かるこれらの仕事を、3日で完了してくださったご担当者様にこの場をお借りして改めて御礼申し上げます。
 協議が整ったところで、キーワードと使用意図を説明して、番組選択を依頼します。番組選択をお願いしたのは、権利処理と素材選びの「プロ」の方で、30本近い番組を選んでいただきました。さらに選択された30番組の試写テープを(早送りですが)全て確認し、使用しそうな場面を抜き出していきます。最終的に10番組にまで絞り込み、30分くらいの映像を抜き出しました。
 結局使用したのは4番組から10シーン、使用秒数は5校まとめて125秒でした。映像は使用秒数が確定してから、つまり編集が終わってから1週間以内程度に「使用報告書」を提出して申請確定となります。
 このように映像はNHKから既に「第三者の権利の介在しない映像」を選択していたので、特に処理の必要がないはずでした。ところが、選択した映像の一つが報道用に取材した映像で、報道目的以外の使用の場合には取材元の許諾がいるという連絡が入りました。そこで、当該の会社に連絡をしたところ、報道以外の使用は一切認めていないとのことでした。会社の方針として「報道利用のみ」可、その他二次利用不可というのであれば仕方がありません。ただ、今回のような「権利処理」から「権利」を学ぶというカリキュラムでは、ワークショップで参加者に映像使用の諾否を知らせる必要がありますし、(是非はともかく)企業におけるスタンスとして、目的の如何(教育目的であっても)にかかわらず外部利用を認めないというのは当然にあり得るのだということを理解することも大切です。そのことを説明するためにも、申請書にNGと書くだけでもいいので書面をもらえないかと交渉したところ、けんもほろろに断られてしまいました。また、別の会社ですがワークショップ参加校の生徒が出場していた競技会の模様を取材したニュース映像の借用を依頼した会社についても、同様の対応でNGとなりました。
 余談ではありますが、いずれも報道関係の部署であったことと、利用できないことよりも、この様な対応を容認している企業姿勢が残念でなりません。教育目的だからということで甘えるつもりはありませんが、「そのようなことをするメリット(理由)は我が社にはない」という姿勢は、「報道」という「社会正義」に携わる者としてどうなのでしょう。

 さて、NHK以外の映像使用希望は、先のニュース以外に神戸市環境局の制作したDVDからの借用希望がありました。こちらについては次回お話ししたいと思います。

(え)
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2006年09月03日

後半までの2週間〜権利処理開始!

 前半と後半の間は、権利処理の仮申請・仮許諾を行う期間です。このワークショップでは、参加者が権利処理を実際に行うことを目的としていますが、そうはいってもいきなり「権利処理をしなさい」といっても無理なことです。それこそ中学生や高校生は企業に電話をかけることすら経験したことはなく、権利者に自分たちの目的を告げ、使用に付交渉する…というのはいきなりは難しいでしょう。そこでこのワークショップでは「権利処理機構」というものを開設し、参加者はいったん著作物の使用希望を機構宛に提出することとしました。機構はそれを受けてレコード会社や各権利者に連絡し、申請書を送付します。以上の仮申請・仮許諾を経て、後半のワークショップで諾否について各グループと話し合い、使用するものについては本申請書を記載し、機構に提出するという手順をとります。従って原則対外的な交渉は全て機構が窓口となり執り行います。
 後半カリキュラムのご紹介の前に、機構の交渉の様子を中心に、権利処理の仮申請・仮許諾の様子を数回にわたりご紹介します

 ワークショップの前半では一旦固まったシナリオや構成に従って、使用したい著作物を仮で決定しました。さらにこの2週間で、作品の構成を練りなおしたり、取材に行ったり、新たに使いたい著作物があった場合に権利処理機構に申請するなど、後半の編集活動に向けての準備を行いました。
 権利処理機構は、前半終了時に提出された「著作権台帳」を元に、レコード会社の音源使用の交渉、映像使用の交渉、映像素材のコピー等に追われます。借用使用についてNGだった場合は、直ちにワークショップ専用ポータルサイトの各学校掲示板に記載し、代案をお願いしなければなりません。とにかく時間が限られている上に、お盆休みも挟みます。前半終了からは忙しくなっていきます。

 交渉の手順はおおむね次のようなものです。
 1 各学校の台帳を元に連絡先、使用内容を会社ごとにまとめる。
 2 会社の連絡先を調べる。直接の部署がわからない場合は、ネットで会社のHPから会社概要を参照すると、大代表が出ていますので、そこに連絡する。
 3 このイベントの趣旨等を説明し、使用について交渉する。
 4 依頼に応じて、申請書、企画書、協力依頼書をFAXする。
 5 必要に応じて説明を補足する。

 先回にも触れましたが、使用許諾をもらうのに今日交渉して明日には返事を下さい、というのは相手には失礼なことですし、非常識でもあります。しかし本ワークショップは前半終了後から後半終了までの非常に限られた時間の中で使用申請をし、作品の制作し終えなければなりません。
 そこで、権利処理機構は、あらかじめ各権利者団体に協力をお願いしておきます。音楽については、JASRACが最も管理楽曲数が多いので、おそらく生徒の使用希望楽曲もJASRAC管理だろうと予測し(去年はイーライセンス管理の楽曲の使用希望があり、私も初めての申請を体験しました。)、あらかじめJASRACに対し、ワークショップの内容、イベントの趣旨をご説明し、協力依頼をしました。またレコード協会には会員各社宛に事前のアナウンスをお願いいたしました。
 このレコード協会からのアナウンスのおかげで、各レコード会社とも本ワークショップ用の担当を立てて頂け、大変スムーズにお話しすることが出来ました。どの担当の方も私どもの活動に大変理解を示して頂き、こちらの無理なお願いをかなえてくださいました。楽曲の担当者がレコーディングで終日外出のところを、2日にわたって追いかけて、使用許可を取ってくださったり、感謝しても仕切れないほどのご対応をいただきました。
 権利処理をしていて一番うれしい瞬間はもちろん許諾が取れたときですが、相手の方と同じ方向を向いて仕事が出来たときと、制作担当者が交渉相手に感謝をする瞬間にも、この仕事をしていてよかったなと思います。自分たちだけではない、相手の協力があるから作品が出来るのだということに気がついた担当者は必ずいい作品を作り上げるものです。
企業にいると許諾されることが当たり前であったり、逆に許諾しないことが当たり前であったり、経費をかければどうにかなる、あるいは経費をかけたくないから回避するという思考に陥りがちです。経済活動としては合理的な思考かもしれません。でも「許諾」を取る意味、著作権法の目的とするところに立ち戻ると、そこに相手への感謝というものを忘れてはならないのではないかと思うのです。文化はけして一人では成り立たないという大きな視点から、製作者(制作者はどちらかというと、ご理解いただけることが多い)は一度「創作」ということを考えることも必要なのではないでしょうか。

 この様なことを感じながら後半までの2週間を権利処理に費やしました。もっとも後半ワークショップ中も交渉は引き続き行われているのですが…
 次回からは、権利処理の結果について、まだ、交渉過程でどのようなことがあったのかを報告していきたいと思います。

(え)

posted by 著作権イベント実行委員会 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 平成18年度実践!著作権

2006年09月01日

「実践!著作権」ワークショップ終了ご報告と御礼

 前半戦の様子をご紹介しているうちに、WS後半も無事終了いたしました。

 28日から「実践!著作権」ワークショップの後半の日程が始まりました。
後半は権利処理、映像制作と盛りだくさんの内容です。
後半はいよいよ映像編集と、権利処理実務です。この二つを並行して行うのはかなり大変な作業です。既に仮許諾を頂いている著作物についての本申請書作成だけでも、使用秒数を確定させ、権利処理機構の承認を得て(つまりここで申請書に捺印がされる、会社で総務や経理に会社印の捺印をお願いするようなものですね)、FAX又は郵送の手続きをしたりと、慣れない作業に戸惑うことが予想されます。編集してみたら別の曲の方がBGMにふさわしいということになるかもしれません。その場合は、すぐに権利処理機構に連絡をし、その場で音源の交渉をすることになるでしょう。去年の感じはもう締め切り前の編集部か放送局の制作部のようでした。そんな中で、権利処理機構も突発的な処理作業に追われ、こちらもてんやわんやします。使用許諾をもらうのに今日交渉して明日には返事を下さい、というのは相手には失礼なことですし、非常識でもあります。それをどうやって理解して頂くか、相手にこのワークショップの意義を汲んで頂けるよう説明できるか・・・。どんな依頼、交渉でもこの点は重要です。権利処理だけでなく、通常の会社の業務でも日常の些細なことでも、「自分が何者」で、「何のためにこの依頼をしているのか」を即座に伝えること、これは訓練するしかないかもしれませんが、その意味ではこのワークショップでの体験は、生徒にも良い学習体験になると思いますが、私たち権利処理機構にも非常に勉強になることばかりです。

と、言っている内にあっという間に後半の3日間が過ぎていきました。
一応、映像作品は完成し、試写まで行ったのですが、まだ、申請書や権利処理台帳などが出来上がっていないので、生徒にも引き続き残務整理がありますし、映像作品をさらにいいものにしたいという意欲で、参加校すべてが作品の最終調整を行っている最中です。
 10月15日の「著作権フェア」ではきっと良い作品の頒布ができることだと思います。

 8月9~10日、28~30日と行ってきた「実践!著作権」ワークショップが無事に終了いたしたのは、ひとえに関係各位のご支援ご協力のおかげです。
本イベントの趣旨に賛同頂き、ご協力いただいた、(社)日本音楽著作権協会、(社)日本レコード協会、日本放送協会、レコード会社各社様、新聞社各社様、協賛いただきました企業各社様、その他突然の申し出にも快くご対応くださいました多くの皆様、 本当にありがとうございました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。


 会場を提供して頂き、細やかにフォローいただいた加古川市教育研究所の皆様、
 作品ジャケットの制作指導と確認を各校ごとに指導いただいた(有)創報堂 大道先生
5日間詳細な記録の撮影をして頂いた加古川ビデオサークルEASYの皆様、
そして、会場設営、撤収はもとより、期間中は早朝から各校に張り付いて生徒のフォローをして頂いた 兵庫県立大学環境人間学部 宮本研究室ゼミ3年生の皆さん、ワークショップ全体の運営をフォローアップして下さった同ゼミ4年生の皆さん、ありがとうございました。


 これから事務局は10月15日のフェアに向けて準備をおこなっていきます。
どうぞフェア当日お越しいただき、参加生徒が何を学んだのか、その成長を生徒の力作をご覧になって感じて頂ければと思っております。

(え)
posted by 著作権イベント実行委員会 at 18:01| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ