2006年10月31日

ワークショップ後半(その2 最終日)

 権利処理の結果を待ちながら、最終の編集作業をしながら、一方でジャケットと盤面のデザイン、作品概要原稿の作成と大忙しの後半2日目~最終日の様子です。

 すべてのデザイン、原稿についてはあらかじめ、記載必須事項、大きさ、文字数などを指定し、提出用紙に記載するように指示しています。事前申請があれば、データ入稿も受けつけますが、Adobe Illustrator(ver.10まで)、Adobe Photoshop(ver.7まで)に指定されます。
 まずジャケットは、表側は必ず自分たちでデザインしなければなりません。また、表側、背表紙には作品タイトル、制作者名の記載が必須、裏表紙には作品タイトル、制作者名、著作権表示( © )、著作物を借りたときの条件(例「必ず映像提供:(株)毎日放送と記載のこと」など)、楽曲等の使用許諾番号を記載し、そして証紙を貼る場合はその貼付が必要となります。証紙は権利処理されたことを示すものですから、非常に重要な意味を持ちます。許諾番号の記載、証紙の貼付を必ず外から見えるところに行わなければなりません。記載、貼付方法はそれぞれ管理事業者のHPに指示されています。しかし裏面の記載事項は複雑ですので、あらかじめ提出用紙に<ジャケット裏面特記事項>(許諾条件、協力者表示など)等を書かせ、すべてを自作する場合を除いては、事務局で記載できるようにしました。
 なお、DVDケースは、スリムトールケース(アマレータイプ)の黒を使用します。
 盤面のデザインにも、作品名、制作者名、著作権表示( © )、そして楽曲使用の許諾番号の記載が必要になります。
 次に各種原稿です。「映像作品のメッセージ」(400字以内)はなぜこの作品を作成したいと思ったのか、伝えたいことは何かということを、「作品解説」(300字以内)は作品内容の簡単な説明を記述してもらいます。この2つの原稿は、ジャケット裏表紙と著作権フェアパンフレットに掲載します。著作権フェアパンフレットには、さらに参加生徒、教員とも各600字以内での「著作権処理をした感想」も掲載します。制作に当たっての感想を、撮影や編集作業だけでなく、音楽や映像を使用することについて、面白かったことや、大変だったこと、困ったこと等と併せて記述してもらいます。これだけのことを生徒がやらなければ、「商品」になりません。そしてこれらがすべて後半2日目(ワークショップ4日目)の終了時が締め切りです。
 とはいっても先述のとおり、新たに映像編集の講義を受けたことで編集手直しが入っていますから、最終日終了まで原稿提出を受け付けることになりました。

 さて、編集も終わり、音楽もナレーションもいれて、いよいよ最終試写の時間です。試写の時点でまだ楽曲の使用許諾がおりていない学校があるので(実は私は試写の間もレコード会社からの電話を待ってずっと携帯を握り締めていました・・・)、完全版ではないのですがワークショップ5日間の集大成の発表です。中間試写のときからどう変わったでしょう。映像編集の指導を受けてもう一度見直しをした作品構成はどう評価されるでしょう。そして、スクリーンにうつる自分たちの作品をどう思うのでしょう・・・。
 中間試写のときからみんなぐんと良くなっています。「人に伝えること」とはどういうことか考え、映像や音楽を使うことで、作品の持つメッセージをより鮮烈に相手に伝えることができるということを、改めて実感できたのではないでしょうか。
 とりあえずは参加5校とも作品は「完成」です。・・・といっても、やはり微調整等を全校が希望したため、一旦データの持ち帰りとなりました。フェアまで間がありませんから、長時間は無理ですが、最終調整は各校で行うこととし、締切り厳守で事務局に提出となりました。事務局は外付けハードディスクにデータを複製し、持ち帰れるように準備します。
 これらのデータがすべてそろえば、あとは、「商品」に複製するための「マスター」、ジャケットデータの制作です。これから事務局は5校分のデータを預かってこれらの商品化の手はずを整えるのです。 併せて、データがそろえば、フェアのためのチラシ、ポスターも並行して作成します。さらにフェア会場で配布する冊子(パンフレット)も作成します。ワークショップは終わってもまだまだ作業は続くのです。
 
 次回はワークショップ終了からフェア開催までの間のこと、作品のマスター制作やチラシ等の制作についてをご紹介します。

(え)
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2006年10月26日

ワークショップ後半(その1 後半一・二日目)

 権利処理の結果のお話の中で、後半の日程中に生徒の行った権利処理実務について申し上げてしまったので、今回は権利処理以外の後半の様子をご紹介しましょう。
 後半はなんと言っても作品を仕上げなければなりません。そのためにNGだった楽曲等の差し替えに追われるのです。作品は10月のフェアで「商品」になります。商品にするためには、完全に編集の終わった「マスター」版が必要になります。映像作品だけではありません。DVD盤面とジャケットのデザインもしなければなりません。パッケージの裏に記載する作品紹介も考えなければなりません。これだけの大仕事を、楽曲使用の諾否の知らせを待っている中でこなすのです。DVD盤面、ジャケットデザインと作品紹介原稿については、ワークショップが始まる前の説明会で説明し、用紙も渡しています。しかし、作品がある程度かたまらなければデザインも原稿もなかなかかけません。これらの仕事を後半3日間で一気に行うのです。
 参加生徒も最初は大体集合時間どおりに来ていたのですが、日がたつにつれどんどん到着が早くなります。そして席に着いた途端、もう作業開始です。

 後半初日(全体のスケジュールでは3日目)、夏休み期間中も素材を持ち帰り取材や編集を重ねています。そこで、午後からはある程度編集が出来た段階で、試写会を行いました。仮編集の段階なので、まだナレーションが付いていなかったり、音楽がなかったりしますが、全体の様子はつかめます。また、他校の作品の進行状況や編集の方法から、自分たちのスケジュールの組みなおしや、追加素材、編集方針の変更などを学ぶことが出来るので、仮編集の試写といえども重要なのです。試写される作品はみんなそれなりに形になっています。
 しかし…映像編集の経験が邪魔をして編集が型にはまってしまったり、知り合いがうつっていることに満足したり、第三者のみる「商品」ではなく、自己満足的な仕上がりに陥りつつありました。取材をしたのも編集をするのも自分たちですから、自分たちには十分な構成です。しかし作品を通じて、メッセージを伝えるチカラが弱いのです。作品の完成度を上げることも、実は著作権意識の向上に重要な役割を果たすのです。そこで急遽、後半2日目午前中に講義時間を設け、映像編集の指導を実行委員会の先生にお願いしました。先生はご自分で編集された作品を上映しながら、「人に分かりやすく伝えるとはどういうことか」ということを具体的に講義されました。
 この講義の後、生徒たちの編集作業にさらに拍車がかかります。自分たちの作品を改めて見直し、内輪受けになっていないか、独りよがりな説明になっていないかを考えるきっかけとなりました。この講義を境に編集がぐんと良くなりました。もっと時間があればもっと良くなったかもしれません。しかし編集も権利処理も自ら経験がないと、どんなに講義を受けても身にはつきにくいのです。今回の生徒たちも自分たちの作品を他人に指摘されることで初めて「人に何かを伝える」作品になっていないことに気がつくのです。
 後半日程も後1日です。前回書きましたようにこの時点で許諾のおりていない楽曲を抱えている学校が3校あります。作品は全校再編集真っ最中です。ジャケットデザインもまだ事務局に提出されていません。大丈夫かしら・・・?今年はフェアまで1ヵ月半しかないので、マスターから商品にする時間を考えると、ワークショップ期間中に完了しなかった場合、学校に持ち帰っての作業はかなり厳しい状況です。
 実はちょっとだけ心配していました。
 次回は、後半最終日についてご報告します。
(え)
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2006年10月19日

権利処理の結果(音楽その3)

 今回は音楽の処理の詳細、特に許諾がぎりぎりだったものと、生徒自身が交渉をしたものについてご紹介しましょう。
 使用希望楽曲のうち2曲を「著作権フリー」の楽曲を選んだ学校があったのですが、そのCDには「商用目的の場合は許諾が必要」という条件がありました。今回制作する作品は1日限りとはいえ販売する「商品」ですから、著作権はフリーではなく許諾が必要となります。著作権フリーだからと安心していて権利処理が遅れ、しかもレコード会社の最初の返答は「検討します」でしたので心配しました。そしてその2曲はまさに終了直前の試写会中に使用を許諾する連絡がありました。
 この学校は最初の希望リストは使用料が折り合わず全てNGで、代案の3曲のうち2曲が上記の作品、さらにもう1曲でも苦労していました。この1曲とは舞台劇のサウンドトラックで、作曲家は権利者団体のメンバーではありませんから、直接交渉が必要でした。ところが劇の主催者以外の情報が全くない、という非常に困難な楽曲でした。しかも作曲家はコンサートツアー中で連絡が付かない・・・。それでもあきらめず、主催者にお願いをして何とか作曲家に連絡をしてもらい、直接交渉しました。作曲家との交渉は全て生徒が頑張りました。後半二日目の朝のことです。生徒宛に電話がありました。みんなどうなるかと固唾を呑んでいましたが、交渉に臨んだ生徒はきちんと自分たちの意思を伝え、使用許諾を願い出ました。結果はOK。お忙しいところお時間を割いていただき生徒にお電話いただきました先生並びに関係各位に本当に御礼申し上げます。使用料にと作成したDVDをお送りすることになりました。

 音源CDが手に入らないというアクシデントの学校もありました。当初シングルCDを音源として申請し許諾を得ていたのですが、どうしてもシングルが手に入らないためアルバムからの楽曲使用に変更する必要がでたのです。同じ楽曲であってもシングルとアルバムではアレンジが違ったり、演奏者が違ったりすることがあります。そうすると「音楽原盤」としては別の物ですから、再度申請が必要です。そこで改めてレコード会社担当者とアルバム楽曲に差替えできるか交渉しました。こちらも生徒自ら担当者と交渉し、無事に許諾を得ました。

 通常ですと許諾されるのが難しい超売れっ子アーティストの事務所からの許諾を頂いた学校もありました。だめもとでもとにかく申請しようをモットーにトライして、見事許諾されたのですが、これも最終的な諾否の確認は生徒が電話で行いました。最初に電話を取った方はこの担当の方ではなかったらしく、ちょっとあわてましたが、この会社は情報連携が取れてたようで、すぐに理解頂き担当者にかわっていただけました。
 企業に電話するなんて、中学生にはめったにないことです。しかも自分たちの作品への使用許諾がかかっている電話です。緊張したと思いますし、無理かなとも思ったのですが、どの学校の生徒も言うべきことをきちんとまとめてから電話することで、きちんとした応対を取ることができています。このあたりは先生方がきちんと指導、サポートくださったおかげです。生徒の感想に「ちょっとだけビジネスマン気分が味わえた」というのがありました。生徒にもいい体験になったようでした。

 映像編集のクオリティが高いだけに楽曲で妥協できない学校がありました。途中いくつもNGとなってしまい、最後の最後に決めた楽曲は、レコード会社の担当者がレコーディング中で連絡が取れず、ワークショップ最終日締切りまでに返答がもらえませんでした。許諾申請をしているのは法務部ですが、法務部は現場担当者の確認を取る必要があるのです。法務担当はなんとか現場担当と連絡を取ろうと、何度も連絡してくれました。私どもにも午前、午後、夕方と「まだ連絡が取れないが、いつまで待てるか」と電話をくださいます。とうとうワークショップ終了時間になりました。それでもまだ・・・「どうする?あきらめる」ときくと、生徒は後1日待つといいます。ワークショップ終了後は商品にするためにDVDマスター原盤を作らなければなりません。その締め切りまでに原盤を仕上げてもらわないと・・・こちらもハラハラです。しかし、ぎりぎりまで粘ってついに使用許諾をいただきました。この間のレコード会社法務部の方のご尽力には本当に頭が下がる思いです。言い方は悪いんですが、「たかが生徒の作品」です。企業にしてみれば、手間のかかることです。それでもです。それでも何日もかけてこの曲を許諾してくれたのです。
 この作品に関わった生徒が、この楽曲1曲ために多くの人が動いてくれたこと、この楽曲のおかげで、自分たちの作品がすばらしいものになったことを改めて思ってくれればと思います。ちなみに楽曲許諾の条件の一つに学習レポートの提出というのがありました。このレポートを読んだレコード会社の担当者が是非作品を見たいといってくれています。ご担当の方はこの作品を見てどう思われるでしょうか・・・いつかお会いすることがあったらご感想を聞いてみたいです。

(え)

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2006年10月18日

権利処理の結果(音楽その2)

 今年の参加校は放送部が多く、放送コンクール入賞常連校で権利処理について慣れている学校もあったのですが、それでも放送コンクールと「市販商品」との権利処理の壁に苦しみました。放送コンクールでは、規定の料金設定(無償〜安価)があり、コンクールに限る使用条件での許諾が非常に容易です。申請フォーマットも整っており、このあたりは主催者の力と周到な準備だなぁと感じるところです。しかし、これはあくまでコンクールだからです。今回のイベントのように「定価をつけて販売する」ということが最終目的になれば、[一般市販商品]となり権利処理は非常に難しくなります。このことを生徒は身をもって体験しました。とにかく許諾が降りない・・・降りても1曲10万円〜ということで今回の権利処理費を大幅超過するので、使用できません。(何度も申し上げておりますが、1曲10万円は企業ユースの場合はそれほど高額ではありません。) これはいくら交渉しても仕方がないので代案を出すように指示します。
 また、CDの発売元のA社に申請をしたら、音楽原盤はB社のものなのでB社に問い合わせてくださいというのもありました。通常は発売元のレコード会社が原盤権者の場合が多いのですが、外国曲だったり、コラボレーションアルバムの場合だと楽曲ごとに原盤権者が異なる場合があります。これは外からは絶対に分からないそうで、一旦発売元のレコード会社に問い合わせなければならないそうです。これも面倒な話で、そのたびに生徒は申請書の書き直しとなります。
 それでもワークショップ後半開始までに28曲中10曲は許諾がおりました。それでも使用希望楽曲がすべてOKの学校は一つもありません。これからが3日間でどこまでクリアできるか・・・
 このような権利処理結果を踏まえて、各学校とも次々に代案を考えます。しかし曲のイメージ、映像のイメージがありますから、何でもいいというわけにはいきません。音楽によって、その映像の持つ力が何倍にもなってメッセージを伝えるのです。この楽曲を使用したいという思いは、制作者の表現したいことに直結しているのです。代案として仮申請しておいた曲の使用許諾が降りても、生徒たちは満足しません。一番使いたい曲の許諾が降りるまで待つといいます。こういう制作者の熱意には、どうしても応えたくなるのが、権利処理実務担当者の気持ちです。とにかくがんばるしかないのですが・・・相手あっての交渉です。
 結果的にはレコード会社各位のご協力により、後半差し替えの大半が後半の3日のうちに処理されました。
 この後半戦の権利処理に内容を踏まえて、次回はさらに詳細をお話します。

(え)
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2006年10月17日

「実践!著作権」フェア終了御礼

 おかげさまで、15日に著作権フェアを開催し、盛況のうちに終了することが出来ました。
 イベントに参加いただいた生徒の皆さん、来場者の皆様、ありがとうございました。
 また、パネルリストとしてお越し頂きました皆様からは大変有意義な意見を頂戴致しました。今後の教育現場における著作物利用につき、新たな提言につなげていきたいと思っております。
 ワークショップのご報告も途中ではありますが、フェアについても順次様子をお知らせいたします。当日会場に起こし頂けなかった皆様にも、このブログを通じて、私どものイベントの内容、活動意義をご報告いたしていきたいと存じます。
 最後になりましたが、本イベント開催に当たり、ご協力いただきました皆様に、厚く御礼申し上げます。
posted by 著作権イベント実行委員会 at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ

2006年10月14日

「実践!著作権」フェア 10月15日開催します。

〜「実践!著作権」フェア開催のご案内 〜
 ワークショップの様子をお伝えしておりますが、今回はそのワークショップでの成果発表の場である「実践!著作権」フェアの開催について、ご案内です。


≫≫開催日時・場所
 ●2006年10月15日 12:00開場、13:00開演
 ●加古川総合文化センター大会議室
  (加古川総合文化センター交通のご案内へリンク)
   ※お詫びと訂正
    掲示・配布しましたポスターチラシ中、
    「加古川北小学校」「加古川北幼稚園」は、
    正しくは、「平岡北小学校」「平岡北幼稚園」です。
    お詫びして訂正いたします。


≫≫参加費: 無料

≫≫参加について(お申し込み、お問い合わせ)
 ●TEL:079−292−9390
 ●FAX:042−444−7222
  メール:info@cef.jpn.org
 *お申し込みフォームはこちらから(終了しました。)
  連絡先:ひょうごe-スクールコンソーシアムITコンテンツ利用研究部会
      著作権イベント実行委員会事務局(事務局担当:芝野)
 *当日直接お越しいただいても結構ですが、会場が狭いため予めお申し込みいただけますと幸いです。

≫≫「実践!著作権」フェアの特徴…
 ●参加生徒作品の発表と販売を致します。
 ●教員と専門家によるパネルディスカッション「著作物利用のフロンティアを拓く」
  教育現場に焦点を当て、著作物利用の現実的な促進のために教師はどこまで権利処理を進められるのか、権利者側からはどのような歩み寄りが可能なのかを討論します。
 ●「一日著作権相談コーナー」設置。権利処理の質問にお答えします。


ちらしのダウンロードはこちらから[PDF 3.4MB]


 主催:ひょうごe-スクールコンソーシアム ITコンテンツ利用研究部会
 後援:兵庫県教育委員会・加古川市教育委員会・神戸市教育委員会・文化庁
 協賛:カノープス株式会社・富士通株式会社・日本電気株式会社・
    株式会社きもと・セイコーエプソン株式会社

詳しくはこちら
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2006年10月01日

権利処理の結果(音楽その1)

 映像は神戸市環境局と先に述べた特殊事情を除けば、NHK1社ですから交渉もほぼ単体で済みます。しかし楽曲はレコード会社1社ではありませんし、時間も掛かります。出来る限り後半が始まる前におおかたの処理をしておきたいと思っていたのですが、ちょうどスケジュール的にお盆休みに掛かってしまいます。しかも今年は楽曲のジャンルが幅広いので諾否の予想が付きませんでした。リリース直後の楽曲や超人気アイドルの楽曲は許諾されない(あるいは高額)と考えるのが普通なのですが、「とにかくやってみよう」がモットーなのでそういった楽曲も沢山リクエストされています。「間に合うかなぁ…」と正直不安でした。また、上記映像の件や最初に連絡をしたところで躓いたこともあって、かなり自信がありませんでした。
 終わってみれば、交渉数40タイトル強うち、使用楽曲16曲の使用となりました。半分以下?いえいえ、これは相当良い結果です。
 楽曲の使用については、作詞家・作曲家、あるいは彼らが所属する音楽出版社がJASRAC等の著作権管理団体のメンバーであれば、申請書の提出だけですから、音源CDの権利をもつレコード会社の許諾を取ればいいということになります。予め日本レコード協会の協力を得て、会員者のレコード会社各位に本イベントについてアナウンスをしていただいたおかげで、多くのレコード会社で担当者を決めていただけ、大変スムーズに交渉が出来ました。しかしいくら「教育目的」だといっても、レコード会社には通常の許諾と全く同じ手間が掛かります。しかも使用料は本当に少額にしていただいています。企業としては単純な費用対効果からすると、合理性を欠く業務でしょう。それでも多くの担当者から、「著作権意識の啓蒙のために」と言っていただき、励まされ、注意されながら一つ一つ許諾を得ていきました。全ての交渉は権利処理機構が肩代わりしていますから、このあたりは、生徒の勉強と言うよりはまさに私達の勉強です。
 もちろん、生徒には諾否だけを伝えるわけではありません。許諾された場合は、それが如何に特異なことであるか、NGの場合は、なぜNGなのか、きちんと説明しなければなりません。通常の許諾料の1/10で許諾された楽曲、今回に限り無償の楽曲、学習レポートを提出することを条件とした楽曲、クレジット表記が条件の楽曲、色々な条件で許諾されましたが、すべて、相手の方の好意の上に成り立っていること、楽曲を利用し映像作品を作る事を通して、「著作権」について理解してほしい、という期待があるということを、伝えなければならないと思っています。
 NGの場合は少し難しいかもしれません。例えば「映画のサントラはその映像作品のために作られた楽曲なので、他の映像と一緒に使ってほしくないのだ」という理由は、大変納得のいくものです。ところが「企業体制として一切NGである」という理由は少し理解するのに難しいのではないかと思います。企業の体制としてNGであるということは、それが経済原理の上に成り立っている以上、非合理的な業務は一切行わないというのは当然だということは、社会人であれば理解できるでしょう。しかし経済活動に直接には従事していない生徒にとっては、どうなのか。「人の物を勝手に使ってはいけない」といういわば道徳のように教える一方で、著作権が排他的独占的権利であるが故に、「気に入らないから使わせないのも著作(権)者の自由」という、ある種の「わがまま」、他人を思いやる必要がないという側面との矛盾、そして経済原則…。理屈ではなく心にすんなり受け入れられる理由をどう説明すればよかったのか…これは私自身の反省であり、著作権と著作権教育の問題なのではないかと思います。
 こんな事を思いながら、交渉を進めていきます。後半日程が始まれば、NGの楽曲の差し替えの交渉が待っています。しかも後半は3日間で諾否の回答を得るというまさに綱渡りです。もっともこの緊張感と、制作者の熱意が感じられることが、権利処理の醍醐味であり、私が権利処理をし続けたいと思うところなのですが…。
 次回は楽曲使用の諾否についてもう少し詳しいことをお話ししたいと思います。

(え)

posted by 著作権イベント実行委員会 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 平成18年度実践!著作権