2007年03月18日

平成18年度「実践!著作権」ブログ終了

 ほぼ1年にわたり、平成18年度「実践!著作権」イベントの様子をお知らせしてきました本ブログですが、先日報告書も発送し、種々の書類の提出も完了いたしましたことから、本日の更新をもちまして、終了いたします。イベントに参加いただきました皆さん、イベント関係者各位、そして、本ブログをお読み下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。
 併せて、平成18年度のイベントサポートも3月中をもって終了いたします。

 なお、平成19年度「実践!著作権」イベントは4月よりスタートいたします。新しいイベントの様子も、引き続きご紹介して行く予定ですので、今しばらくお待ち下さいませ。
 新しい企画に向けて頑張ります!どうぞ宜しくお願いいたします。

(え)

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2007年03月13日

「実践!著作権」参加者の皆様へ

 あっという間に桜の季節になりました。参加した3年生の皆さんは卒業式を迎え、進学に就職にと新しい世界へと踏み出されることと思います。また、2年生の皆さんは新旧交代、最上級生として責任ある学年になりますね。1年生で参加してくださった皆さんには、ワークショップの時は少し難しかったかもしれませんが、体験を通じて学んだことを、今年は後輩にいろいろ教えてあげてください。
 3月は変化の月、4月は新しいことが始まる月です。ということで、JASRACからも変化のお知らせです。4月1日以降のJASRAC申請分からは証紙の貼付が廃止となることとなりました。(詳しくは http://www.jasrac.or.jp/release/07/03_1.html 参照)
 ワークショップで作成したDVDの再複製については、フェアのときにお渡しした「再複製に際して」というレポートに記載のとおりです。しかし、証紙が廃止されることになりましたので、4月1日以降は、JASRACからの許諾後、ジャケットとレーベルに許諾番号とJASRACマークを記載するのみとなります。

 皆さんのこれからのご活躍を期待しております。
 又、何か困ったことや疑問に思ったことがありましたら、気軽にお問い合わせくださいね。

(え)


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2007年02月28日

平成18年度「実践!著作権」報告書発送いたしました。

おかげさまで、無事報告書を上梓いたしました。この間の皆様のご協力に厚く御礼申し上げます。
 さて、参加くださった各校、ご協力いただきました皆様には本日発送させていただきました。また、私どもの活動をこの報告書を通じて、多くの方にお伝えしたいと考えて、誠に勝手とは存じますが、都道府県各教育委員会様、私学団体様宛お送りさせて頂きました。お手元に届きましたならば、ご一読いただけますと幸いです。
 併せて都道府県図書図書館にもご送付いたしております。教育関係以外の方も是非お近くの図書館でご覧下さい。
 報告書が皆様のお手元に届き、(社)私的録画補償金協会、後援頂いた各方面への報告が終了すれば、平成18年度「実践!著作権PartII〜先生と一緒に学ぼう」イベントは終了します。ちょうど一昨年の今頃から計画を練り、テキストを執筆し…と準備してきましたイベントも無事に最終ステージというところでしょうか。参加した生徒も大半が3年生でしたから、只今試験の真っ最中です。3月になれば、卒業し、それぞれの道を歩むことでしょう。2年生で参加した生徒は、イベントでの経験を生かして来年度は最上級生として下級生を引っ張っていくでしょう。ちょうどイベントに参加した学校の作品で描かれたバレー部の新旧交代のドキュメンタリーそのものです。ほっとしたような寂しいような気持ちです・・・

 と、思いきや平成19年度も引き続きイベントを実施することになりました。18年度が一区切りしましたら、19年度の話題をお話ししてきたいと存じます。
今後とも宜しくお願い申し上げます。

(え)
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2007年02月17日

平成18年度「実践!著作権PartII〜先生と一緒に学ぼう」報告書校了しました。

 昨年開催いたしました、体験型著作権学習イベント「実践!著作権PartII〜先生と一緒に学ぼう」の計画から8月のワークショップの様子、10月のフェアの様子を記載しました報告書を先週校了しました。完成は2月25日を予定しております。
 報告書では、2回目に当たる本イベント開催に当たり、1回目のイベントについての分析からの改善点、2回目での変更点、開催に必要な準備、会場設営等事務局作業についても記述しています。もちろんワークショップ中の生徒の様子や権利処理の実例等も解説しています。フェアのパネルディスカッションの記録も書き起こしされています。
 この報告書は、関係各位に配布する他、都道府県図書館にも納本する予定ですが、もしご興味がありましたら、ご連絡いただければお送りいたします。右記資料請求フォームよりご請求ください。また、この報告書を読んだ感想や、体験型の教育プログラムを行おうとお考えになられた先生がいらっしゃりましたら、是非ご連絡を頂ければと存じます。

(え)
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2007年02月11日

権利者が直接許諾するということ

 ワークショップでお世話になった作曲家の先生とお会いしました。この先生は団体に所属していない方でしたので、楽曲使用にあたり生徒が直接お電話して使用許諾を頂いた方です。ちょうど全国ツアー中で神戸にもお越しになるということで、お時間を割いていただきました。
 生徒はお花と御菓子を用意していて、みんなそろってお招きいただいた楽屋へと向かいます。中学生にとって楽屋に伺うという経験は余り無いと思います。みんな緊張した面持ちです。
 先生は優しく待っていてくださいました。ワークショップでのお礼を言って、生徒がお花と御菓子をお渡ししました。コンサート開始までの30分ほどお話をしました。
 先生が生徒から電話を受けたという体験について、「著作権とか、権利とかいうけれど、根幹は人と人とのつながりなんだなと思った」とおっしゃいました。日頃、利用者から直接交渉を受けることはほとんど無いし、あったとしてもレコード会社や音楽出版社経由であって、「なぜこの曲を使いたいのか」「どういう思いがあるのか」というのを直に感じることは出来ないが、今回のように直接お話を聞いて、使用について考えるのは、作曲家としてもとてもうれしかったし、逆に勉強になった…そんなことを言ってくださいました。
 生徒達はただただ緊張して拝聴していましたが、私はそれをきいて、本当にうれしくなり、又感動しました。私達が目指していること、私達の理想とする初等教育における著作権教育はまさにこのことに気づくことです。権利とか法律とかそういうことは、後から勉強すればよい、ただその根幹に流れるものは、最初にきちんと理解することが大切であると思っています。それは利用者も権利者も本当は同じなのです。それを権利者の立場からも感じていただけたのです。
 最初から「権利者」というのは多分いません。皆誰かの何かに刺激を受けて、その道に進み精進したから、今の地位があるのだと思います。作品と作品の持つメッセージが人と人をつないで、新たな作品に繋がっていく…その根底にあるのは、メッセージ=表現したもの=著作物への純粋な評価なのではないかと思います。ただ、多くの「権利者」は自らの作品を経済的価値からしか判別できないようなシステムにおかれていますから、なかなか直接的に生の評価を聞くチャンスはないのかも知れません。だからこそ、今回のように生徒がこの曲をと熱望し、先生に直接その思いと伝えられたことは、著作者の独占的排他的権利だからという理由を越えて、著作権の基本理念への獲得に繋がったのではないかと思います。
 生徒達にとっては先生から許諾を得たことはとてもいい経験であり、それで大きく成長しました。そんな生徒の姿勢が先生にも「勉強になりました」といってもらえるほどだったんだなと思うと、胸が熱くなりました。
 失礼を顧みず申せば、このような商業ベースではない利用について、直接許諾するという体験をすることは、著作者として権利と自分の創作活動について、その意義を考える機会となるのではないでしょうか。そして、著作者自身が自らの権利のなんたるかに思いを巡らすことができれば、著作者は著作物の利用について、もう少し深い考察が進むでしょうし、著作物の正しい利用はもっと進むのではないかと思います。
 すくなくとも、他の商売をさげすむような発言をするような著作者にはならないのではないかと、先生のお話を伺いながら、大胆な感想を抱きました。

(え)
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2007年02月05日

新聞記事を報告書に転載するための権利処理

現在、平成18年度「実践!著作権」報告書を鋭意作成中です。
今日は、その報告書に本イベントを取り上げた新聞記事を転載するための権利処理を行いました。
これを紹介したいと思います。

まず、取材の際にいただいた名刺をもとに、取材記者さんにお電話いたしました。
お電話では、ごあいさつを済ませたあと、転載させていただきたい旨を伝えました。
具体的には、
 どのような冊子に転載するのか(報告書の内容)
 どのような形で転載するのか(本イベントについて取り扱った記事を紹介したい)
 そして、報告書の頒布方法(教育委員会、公共図書館、権利者団体等に無償で配布)
といったことでした。
回答は、出所明示(新聞名、日付、頁)をきちんと掲載してくてもらえれば、OKです、ということでした。

え?こんなに簡単に?そう、これだけです。
実際一番大変だったのは、お忙しい記者さんをつかまえることでした。
私自身も意外にあっさり許諾されるのだと感じると同時に、
記事を複製利用する場合の許諾条件がきちんと周知徹底されているのだと感じました。

もしかしたら、取材対象者という理由で許諾基準があるのかもしれません。
しかし、昨年末にお会いした別の新聞社の方がおっしゃっていましたが、
非営利的な無償の利用(たとえば、教育現場)であれば、許諾を求めていただければ応じますとおっしゃておりました。
ネット配信については許諾は難しいとのことでしたが、通常の複製頒布であれば、許諾されるといっていいように思います。
会社によって違いがあるでしょうが、電話1本です。
代表電話に電話して、該当部署にまわしてもらって、お願いする。
権利処理の第一歩として、新聞記事からはじめてみるのもいいかもしれません。

(事務局S)
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2007年01月24日

「メディアを学ぼう 第17回 著作権を考える」が放送されました。

 以前から告知しておりました、上記番組が本日放送されました。昨年の夏休み、暑い中5日間の講義と編集作業をこなした参加生徒たちの取り組みと思いがぎゅっと凝縮されています。
再放送は来週、31日(水)11時半〜11時50分です、見逃された方も是非ご覧下さい。
 著作権は日本の法律の中でも最も理解しにくい法律の一つなのだそうです。そもそも「無体財産」という概念的なものですからなかなかイメージしにくいものです。しかし法律が難解であっても、日々著作物を楽しみ、利用し、著作物に囲まれて生活していますから、分からない、知らない、難しいとばかりは言っていられません。とはいえどうしたら理解できるのか・・・
 そんな思いから組み立てたカリキュラムがこの「実践!著作権」です。中学生と高校生が著作権と真っ向から取り組んだ軌跡を辿って頂けると思います。そしてこの番組の生徒たちのように番組をご覧になった皆さんが自ら権利処理に取り組もうという行動に繋がればいいなと思っております。又この番組をご覧になって著作権とか権利処理とかが思ってより難しくも恐ろしくもないということを感じて頂ければうれしいです。
 本イベント実行委員長宮本教授の言葉通り、参加生徒たちは「自分たちもやればできるという感触をつかむことができ、人と人のつながりのなかで物は作られていくということの貴重な体験になった」し、それが著作権の本質的な理解を導くと思います。
 番組についてはHPが連動して情報の提供をしております。下記URLからご参照くださいませ。
 http://www.nhk.or.jp/media/ja/frame.html
 HPの上のタブ「ばんぐみ」をクリックいただくと右下に「あらすじ」というボタンがあります。それをクリックいただくと、番組ダイジェストを見ていただけると思います。

(え)
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2006年11月28日

「実践!著作権」フェア(その3.パネルディスカッション2)

 先回は、権利者が音頭を取って新しいルールを作ったということをご紹介しました。今回は、学校現場での実際に困っている事例についての発言から考えてみたいと思います。

 学校での著作物利用と聞いて最初に思うのが、複製=コピーでしょう。資料をコピーして配布したり、問題集を作って配布したりと、クラス全員が同じ教材を利用する必要性から複製は非常に重要な行為です。そのため、著作権法においても第35条「学校等教育機関における複製等」ということで、例外(つまり無許諾で利用できる)とされます。
 このコピーというものが総合学習のおかげで、大量に増えたということは想像に難くないでしょう。この場合のコピーは紙のコピー量のことを想像しますが、その何倍ものダウンロードという無形の「コピー」も行われていると思います。「昔はガリ版だったのでコピーも大変だったが、今は簡単にコピーできる」という発言がパネリストからあったのですが、この発言は複写機器の簡便化についてだけでなく、技術の発達による複製の容易さを象徴する発言ではないでしょうか。そしてこの点は非常に注意すべき点です。ネットからのダウンロードが「コピー」に当たるという意識はかなり希薄であるからです。思わぬところでコピーをしている可能性は否定できないでしょう。
 さらに、どうしても必要なコピー、必要な「公衆送信」があると思います。例えば、病気やけが、その他物理的な理由を含めて学校に登校できない/しない生徒への対応などです。直接会えない生徒であっても、メールやチャットだと教師とコミュニケーションを図れるという場合もあります。授業で使ったプリントをメールに添付して送る、学校サーバに授業内容をUpしておく等で、その生徒への教育をサポートする場合はどう考えればいいでしょうか。
 これらを一括して「35条を超える利用であり云々」といってしまうのは大変簡単です。しかし問題はそれほど単純ではないと私は考えています。
 さらに著作物利用を阻害する要因の一つとして非常におもしろい指摘がありました。使用料の支払いについてです。この場合の問題は使用料の高い低いではありません。学校行政として経理上著作物利用にかける費用の「科目」の問題です。簡単に申せば、備品購入費は「有体物」の購入への科目であって、「無体物」たる著作権の許諾料(著作物使用料)としては認められないという問題です。「そんなの臨機応変に対処すればいいじゃないか」というのがシンプルな感想かも知れません。しかし経理上はそうはいかないのです。この点からすると、有体物であるメディアに著作物利用料が組み込まれた学校教育専用媒体等があれば学校での著作物利用も進むかも知れないというのは、一つの解決策として有効でしょう。MDやDVDに指摘録音・録画補償金額が加算されていると同様に、全ての著作物の利用補償金が組み込まれている「学校教育利用特別媒体」を販売するという提案は、少々荒っぽいですが、一つの方法かも知れないと思いました。
 学校現場の先生方の多くが、「著作権法35条を今までは拡大解釈して、教育ならなんでも良いと思っていた」が、今は、著作物を利用したいが「この様な利用が適法か違法か解らないのでこわいからやめておく」というふうに思っておられると思います。パネリストの先生からは「著作権についての啓蒙が進んだおかげで、著作物の違法利用は減ったが、適法な利用も減っている」という発言がありました。私はこの発言が学校現場の現状と著作物と文化の有り様を端的に表していると感じ、伺って以来度々ご紹介しております。続けて「文化の継承を阻害している」と発言されているのですが、全く同感であり、著作物の利用無くして「もって文化の発展に寄与す」るという法の目的はあり得ないと思います。著作物利用はまず交渉ありきであると思いますが、それが全て個々の先生の負担となっている現状では、積極的に著作物を利用しようという気にはなれないでしょう。現場の先生方からは教育行政のサポートの充実を望む声が高いです。一方教育行政に携わる先生からは、行政が専従でサポートすることは難しいという現状の説明があります。著作物利用や交渉等著作権に掛かる知識を持つコーディネータの必要性を現場、行政共に認知しているのですが、そのような主張はこれまであまり積極的ではなかったように思います。
 本イベントにおいては「権利処理機構」が参加生徒の権利処理をサポートし、権利者(団体)との交渉窓口をつとめました。イベントにおけるこの「権利処理機構」の実証例から、学校現場のサポートを担う部門の存在はけして不可能ではないと思っています。

 現行著作権法が施行になってから37年がたちます。その間、時代や技術の発達に応じて、毎年のように改正されてきました。しかし、学校教育にとって最も重要な著作権法第35条と第38条1項は施行からほとんど改正されていません。平成16年改正で35条の複製主体に生徒が記載され、同第2項が追加された程度です。弱視の生徒のための拡大教科書の作成ですら、ようやく平成16年から「適法行為」となったのです(注1)。それ以外は学校での著作物利用についての議論は昭和45年当時と同じレベルでの議論ばかりであるように感じます。法施行当時から面々と続く市販教材の複製の問題とは異なる複製形態、使用形態が数多くある現在、時代に即した議論が必要であると思います。どのような複製形態があるのか、教育現場においてはどういう利用が多いのか、重要なのか。こういった点はまず、現場から具体的事例としてあげていかなければ、現場にいる人にしか問題は分からないのです。現場の実態がつかめないまま、机上の論議だけで学校での著作物利用が協議されていけば、ますます現状と法律がかけ離れ、教育の根幹を揺るがすことにもなりかねないでしょう。パネルディスカッションで先生方のご意見を伺って、問題を顕在化させるということは急務であると感じました。

(え)

(注1:平成19年度改正案として、視聴覚障害者情報提供施設等は、公表された著作物について、専ら視覚障害者の用に供するために、録音図書を用いて自動公衆送信することができることとすることが盛り込まれています。)

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2006年11月17日

「実践!著作権」フェア(その2.パネルディスカッション1)

 先回までずっと生徒の様子をご紹介してきましたが、今回は、生徒ではなくフェアのもう一つの目玉でもあるパネルディスカッションについてご報告しましょう。
 「実践!著作権」フェアでは、利用者と権利者が一堂に会して「著作物利用を如何に行うか」ということを議題に討論します。昨年は「学校現場における著作権教育を考える」と題して討論しました。今年は「著作物利用のフロンティアを拓く」と題して行いました。パネリストは、県教育研修所の教員、著作権処理の経験のある教員、権利者団体職員、放送局著作権担当という顔ぶれです。私はコメンテータとして参加しました。
 パネルディスカッションでは、まず、著作権法第1条つまり著作権法の目的について確認し、学校現場に関係する条文(例えば第35条、38条第1項など)を簡単に解説しました。次いでそれぞれのパネリストから、それぞれの立場における著作物利用についてのコメントがありました。例えば先生からは実際に権利処理をした際の体験で、ねばり強く交渉すれば許諾されると言うことをお話しいただきました。教育研修所の先生からは、著作権教育の普及によって、違法な利用は減っているが、適法な使用も増えていないという奇妙な現象がおこっていることが指摘されました。これらの意見は私達の企画の発端であり、生徒の体験においてもまさにその通りです。権利者団体からは、改めて団体に課せられる応諾義務の説明があり、放送局からは放送局の特殊性、つまり著作者でありながら同時に最大の利用者の側面ももつということが解説されました。
 放送局での番組制作はある意味学校での著作物利用に似ているかも知れません。番組制作は著作物を大量に使用すると同時に、自らの著作物(番組)も制作します。ところがあまりに膨大に著作物を利用するので(例えばBGMの量を考えてみてください)、いちいち個別に諾否を交渉することは不可能です。 そこで放送局は各権利者団体と団体交渉(包括契約)をおこないます。この契約のおかげで、実際に番組制作をしている人は著作権について知らなくても契約に定められた必要事項だけを提出するだけで、適法な制作活動ができます。但しこの場合の権利はあくまで放送権だけです。放送以外の使用についての許諾は含まれません。学校での著作物利用はどうでしょう。どことも包括契約はありませんが、教師は、自分の授業で使うということを守るだけで適法に著作物が利用できます。いちいち個別に交渉の必要はありません。いってみれば、法律自体に学校についての包括許諾があるような物です。但し、自分の授業に用いるための複製という事だけで、それ以外の使用についての許諾は含まれません。放送局は放送できればよいし、学校は授業が出来れば、それで十分だったのです。
 しかし、それだけではない利用方法が増えてきたことから、不具合が出てきたのです。既存の包括契約ではカバーしきれなくなった時、放送局は著作物利用について団体等とルールを創設し、改訂し、協議してきました。今は学校教育が法律ではカバーしきれない利用法について協議するときなのではないかと思います。この点は実は権利者の側から学校に対して、新しいルール作りを行った事例があります。学校放送コンテストと著作権法35条の改正です。
 放送コンテストは放送局主催で、全国の学校の放送部が放送番組を制作し優劣を競うコンテストです。このコンテストがはじまるとき、放送局はこのコンテスト用のルールの協議を行いました。つまりコンテストに応募してくる放送部が権利処理を行わなければ違法利用になってしまうが、かといって通常のルールでは金額的に折り合わない、故にコンテスト用の特別ルールの必要があったわけです。そこで、放送コンテストに出場する学校の先生方(「放送コンテストの先生の会」とでも言いましょうか)と放送局とで「仕組み」を作りました。また、著作権法第35条の改正についても、文科省が総合的な学習の時間というのを設けるという話を聞いた委員が、現状の著作権法では生徒の複製行為は明確に適法とはいわれていないことを指摘し、問題として取り上げたことで生徒の複製も明記されるようになったこと、また、同2項の、同時遠隔地授業についても同様に働きかけを行った、ということを説明頂きました。
 これは非常におもしろい実証だなと思います。権利者団体からは、一人一人が権利処理について考えるより、それらをとりまとめて行く方がわかりやすいし、シンプルなルールにして理解していくことを全国レベルで進めていくようにすれば良いのではないかという意見がありました。
 ねばり強い交渉は必要です。しかし全国の先生が一斉に「ねばり強い交渉」を始めたら許諾業務は恐らく機能しなくなります。これは昨年も言われたのですが、神戸市の学校の先生だけでも、一斉に権利者に交渉をはじめたら、その応対以外の権利者の業務は全てストップしてしまうだろうと、そのくらい学校の先生というのは沢山いるのだから、先生方の著作権意識の高まりを鑑みてももはや「問い合わせてください」というだけでは済まなくなってきているのではないでしょうか。

 学校の先生方はこの事例をどう思われるでしょうか。もしこの事例を読んで、学校教育での著作物利用のための、ルール作りが必要だと思われたら是非ご連絡を頂きたいと思います。一足飛びに法改正を目指すことは無理でも、そういった声を集約していくことで、ルール作りが可能になり、やがて法改正にも繋がるかも知れないのです。

 次回は引き続きパネルディスカッションのことをお話ししたいと思います。現場では当たり前に困っている問題でも、現場にいないものには発言をきいて初めて知った事がいくつもありましたので。次回は教育現場における問題についての発言を考えてみたいと思います。

(え)

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2006年11月11日

「実践!著作権」フェア(その1.商品の販売)

 10月15日、兵庫県加古川総合文化センターにおいて、本イベント「実践!著作権」の成果を発表する「実践!著作権」フェア開催の日です。
 フェアでは、8月のワークショップで制作した生徒作品DVDのプレゼンテーションと販売、パネルディスカッションを行います。あわせて一日著作権相談コーナーも開催し、日ごろ疑問に思っていることなどにお答えしました。
 生徒にとっては、なんと言っても自分たちの力作を販売することが今日の大きな目標でしょう。これまで作品制作から「マスター」完成、ジャケット入校と作品が「商品」になる家庭をお話ししてきましたので、まず今回はフェアの中でも特に「商品の販売」の様子をお知らせしたいと思います。
 まず、「商品」の販売といってもフェア当日限り、限定50枚の販売です。販売はチケット引換え制をとり、現金を扱うのは受付だけにします。購入希望者は、受付で代金と引き替えに購入希望商品のチケットをもらい、購入希望商品制作校のブースの生徒から、チケットと商品を引き替えます。こうすることで、金銭についての危険性を減らすことが出来ますし、チケットと交換することで在庫数と販売数の確認が容易になります。50枚とはいえ立派な商品ですので、在庫管理は重要です。
 また、当日は各校毎にブースを立て、40インチモニタで作品を上映します。40インチモニタが5つ並んでいる様は、ちょっとオーバーですが何かの見本市の企業ブースのようです。モニタの横にはシュリンクラップされた「商品」50枚が用意されています。生徒はここで初めて「商品」となった作品を見るのです。皆さん自分たちの作品が「商品」として並んでるのをどんな風に思ったのでしょうか。
 12時の開場と同時に、各校ブースでTAが「商品」の上映を行います。チケットは同時に受付にて販売しますが、引き替えは生徒到着後になります。来場者は、各校のプレゼンテーション以外では、このように販売時間帯に各ブースで上映されている作品を鑑賞できるのです。生徒の集合時間は12時半までとしていましたから、30分くらいは各校とも上映だけだろうなと思っていました。
 ところが、12時の会場前からみんな集合しているではありませんか!加古川の生徒を除けばみんな片道1時間くらいは掛かる学校の生徒です。フェアの開会は13時からですから、30分前集合としていたのですが、意気込みが違いました。企業においてもやはりリリース初日は気になるものですが、「制作者」として生徒も同じ気持ちなのかもしれません。今日は一体どのくらい売れるのだろう?完売するかしら?昨年は1000円で販売したけれど、今年の700円はどうだろう・・・
 そんなことを思っているうちにあっという間にフェアの開会の時間です・・・
 パネルディスカッション、生徒作品プレゼンテーション、講評、印税授与等々あっという間にプログラムが過ぎていきました。閉会後の30分も引き続き商品販売が行われます。はっと気がつくと、私は1校も買っていません。さらに「後3枚で〜す」という生徒の呼び込みの声・・・ええ?これは大変、このままでは買いそびれてしまうかも。。。あわてて受付けに行きチケットを購入し各ブースへ引換えに行きました。
 呼び込みをしていた生徒のところもついに最後の1枚が売れて完売、ほか2校も完売し、2校も数枚を残すのみでした。
制作から販売まで行うことで、著作権が何なのか、権利処理とは何を守るために必要なことなのかを体感してもらえたのではないかと思います。

 次回は商品販売以外のフェアのご報告をします。

(え)
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2006年11月05日

ワークショップ終了からフェアまで(マスター制作と商品完成)

 先回で、ようやく生徒作品が完成し、無事にワークショップのカリキュラムが終了したことをご報告しました。後は、「著作権フェア」までの約1ヶ月間でこの「作品」を「商品」に仕上げる作業が残っています。
 参加校から「最終完成版」としてのデータが提出されたら、各校の権利処理台帳を照合し、処理漏れ等を確認しなければなりません。再編集や映像の差し替えを行うと、権利処理していない映像や楽曲をうっかり使ってしまうということがよく起こります。特に「著作権フリー」とある素材集からの使用の有無等含めて、最終試写からの変更点を必ず確認しなければなりません。幸いどの学校もきちんと権利処理ができているようで、安心しました。
 「最終完成版」の確認がとれれば、今度はそれをデザイナーさんに依頼して、メニュー画面(今回の「商品」にはメニューはありませんが)やDVDフォーマットに加工してもらい、動作確認をします。通常の商品製作での「エミュレーション」に当たる作業です。いったん事務局で確認し、最終チェックを各校にしてもらい、生徒・指導教員のチェックサインをもらえば、いよいよ「DVD製造用マスター原盤」が完成します。「マスター」と呼んでいるもので、これから先は、この「マスター」がすべての複製の元になります。従ってこれまで制作したり、複製したデータはすべて破棄することとなります。もちろん私が権利処理のチェックをしたデータも破棄されています。これで、映像作品自体は準備完了、後は複製するだけです。
 並行してジャケットデータにも着手します。こちらも表紙になる部分とDVD盤面についてデザインが提出されていますから、これをデータ化します。もちろん念のため、ジャケットのデザインをした人(クラスの友達など)の許諾についても確認します。制作者名、条件記載、(C)マーク、許諾番号、証紙貼付位置等を何度も確認し、裏表紙に記載する、「作品概要」については、原稿通りであるかを各校付のTAに確認してもらいます。
 中身もできた、ジャケットデータもできた、というところで、JASRACから証紙が届きます。1DVDにつき1枚の証紙が貼付されますから、5校分250枚をデータと併せて業者に発送します。これで1週間ほど待てば、シュリンクラップされた「商品」が届きます。
 「商品」にするためにはもう一つ大切なことがあります。それは販売価格の決定です。実行委員会では印税計算等の関係もあり、商品の定価は1枚1000円と定めています。去年は定価販売しました。今年は、自分たちの作品をいくらで売りたいのか、参加者に「販売価格」を決定してもらうということを試み、アンケートを実施して、全体の希望販売価格の平均値を販売価格にしようと考えました。アンケートは次のような内容です。
1.自分たちの作品がいくらの価値があると思うか?(作品の価値)
2.自分たちの作品がいくらなら売れると思うか?(売れると思われる価格)
3.実際にフェアで売るとしたら、いくらで販売したいか?(販売希望価格)
そして、
4.販売するに当たっての希望や不安など
を記入してもらいました。

 アンケートを集計した結果・・・販売価格は 700円と決定しました。
 作品の価値については、「がんばって制作した」という想いから1000円〜1000円超の価値をつけたところが印象的でした。1000円以下の作品価値を付けた学校は、自分たちだけでなく「たくさんの人に協力いただいた」ということを考慮したというコメントでした。
 また、権利処理費と複製枚数の関係から合理的に算出した結果も提示した学校もありました。この計算に製造原価や販売管理費等がはいれば、我々が作る予算書として通用します。恐らく予算計画ということもカリキュラムとして学んでいるのでしょう。こんな所でも自分たちの学習経験を生かすというのは、実践的な思考が身に付くような教育がされているということだと思います。
 販売に当たっての不安はやはり皆一様に「売れるかどうか」、そして「買った人が内容を気に入ってくれるか」ということでした。今回の「商品」はもちろん自校や、お友達には事前に宣伝できます。しかし、フェアには一般の来場者もあります。その人達が購入してくれるか、これが作品の内容に対する評価にもなります。一般向けには、当日のフェア会場でしかプレゼンテーションできません。気になるのは当然です。完売することは目的ではありません。しかし制作者(クリエータ)として、作品の評価は気になるものです。
 そして事務局には、5校分の「商品」が届きました。「商品」はちゃんとJASRACの許諾証紙が貼付され、シュリンクされ、定価や商品コードこそありませんが、こっそりお店においても遜色ないのではと思うほどのできばえです。もっとも、生徒は当日まで商品を見ることはできません。当日みんなどう思うか今から楽しみです。

 次回はいよいよフェアのご報告です。

(え)
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2006年10月31日

ワークショップ後半(その2 最終日)

 権利処理の結果を待ちながら、最終の編集作業をしながら、一方でジャケットと盤面のデザイン、作品概要原稿の作成と大忙しの後半2日目~最終日の様子です。

 すべてのデザイン、原稿についてはあらかじめ、記載必須事項、大きさ、文字数などを指定し、提出用紙に記載するように指示しています。事前申請があれば、データ入稿も受けつけますが、Adobe Illustrator(ver.10まで)、Adobe Photoshop(ver.7まで)に指定されます。
 まずジャケットは、表側は必ず自分たちでデザインしなければなりません。また、表側、背表紙には作品タイトル、制作者名の記載が必須、裏表紙には作品タイトル、制作者名、著作権表示( © )、著作物を借りたときの条件(例「必ず映像提供:(株)毎日放送と記載のこと」など)、楽曲等の使用許諾番号を記載し、そして証紙を貼る場合はその貼付が必要となります。証紙は権利処理されたことを示すものですから、非常に重要な意味を持ちます。許諾番号の記載、証紙の貼付を必ず外から見えるところに行わなければなりません。記載、貼付方法はそれぞれ管理事業者のHPに指示されています。しかし裏面の記載事項は複雑ですので、あらかじめ提出用紙に<ジャケット裏面特記事項>(許諾条件、協力者表示など)等を書かせ、すべてを自作する場合を除いては、事務局で記載できるようにしました。
 なお、DVDケースは、スリムトールケース(アマレータイプ)の黒を使用します。
 盤面のデザインにも、作品名、制作者名、著作権表示( © )、そして楽曲使用の許諾番号の記載が必要になります。
 次に各種原稿です。「映像作品のメッセージ」(400字以内)はなぜこの作品を作成したいと思ったのか、伝えたいことは何かということを、「作品解説」(300字以内)は作品内容の簡単な説明を記述してもらいます。この2つの原稿は、ジャケット裏表紙と著作権フェアパンフレットに掲載します。著作権フェアパンフレットには、さらに参加生徒、教員とも各600字以内での「著作権処理をした感想」も掲載します。制作に当たっての感想を、撮影や編集作業だけでなく、音楽や映像を使用することについて、面白かったことや、大変だったこと、困ったこと等と併せて記述してもらいます。これだけのことを生徒がやらなければ、「商品」になりません。そしてこれらがすべて後半2日目(ワークショップ4日目)の終了時が締め切りです。
 とはいっても先述のとおり、新たに映像編集の講義を受けたことで編集手直しが入っていますから、最終日終了まで原稿提出を受け付けることになりました。

 さて、編集も終わり、音楽もナレーションもいれて、いよいよ最終試写の時間です。試写の時点でまだ楽曲の使用許諾がおりていない学校があるので(実は私は試写の間もレコード会社からの電話を待ってずっと携帯を握り締めていました・・・)、完全版ではないのですがワークショップ5日間の集大成の発表です。中間試写のときからどう変わったでしょう。映像編集の指導を受けてもう一度見直しをした作品構成はどう評価されるでしょう。そして、スクリーンにうつる自分たちの作品をどう思うのでしょう・・・。
 中間試写のときからみんなぐんと良くなっています。「人に伝えること」とはどういうことか考え、映像や音楽を使うことで、作品の持つメッセージをより鮮烈に相手に伝えることができるということを、改めて実感できたのではないでしょうか。
 とりあえずは参加5校とも作品は「完成」です。・・・といっても、やはり微調整等を全校が希望したため、一旦データの持ち帰りとなりました。フェアまで間がありませんから、長時間は無理ですが、最終調整は各校で行うこととし、締切り厳守で事務局に提出となりました。事務局は外付けハードディスクにデータを複製し、持ち帰れるように準備します。
 これらのデータがすべてそろえば、あとは、「商品」に複製するための「マスター」、ジャケットデータの制作です。これから事務局は5校分のデータを預かってこれらの商品化の手はずを整えるのです。 併せて、データがそろえば、フェアのためのチラシ、ポスターも並行して作成します。さらにフェア会場で配布する冊子(パンフレット)も作成します。ワークショップは終わってもまだまだ作業は続くのです。
 
 次回はワークショップ終了からフェア開催までの間のこと、作品のマスター制作やチラシ等の制作についてをご紹介します。

(え)
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2006年10月26日

ワークショップ後半(その1 後半一・二日目)

 権利処理の結果のお話の中で、後半の日程中に生徒の行った権利処理実務について申し上げてしまったので、今回は権利処理以外の後半の様子をご紹介しましょう。
 後半はなんと言っても作品を仕上げなければなりません。そのためにNGだった楽曲等の差し替えに追われるのです。作品は10月のフェアで「商品」になります。商品にするためには、完全に編集の終わった「マスター」版が必要になります。映像作品だけではありません。DVD盤面とジャケットのデザインもしなければなりません。パッケージの裏に記載する作品紹介も考えなければなりません。これだけの大仕事を、楽曲使用の諾否の知らせを待っている中でこなすのです。DVD盤面、ジャケットデザインと作品紹介原稿については、ワークショップが始まる前の説明会で説明し、用紙も渡しています。しかし、作品がある程度かたまらなければデザインも原稿もなかなかかけません。これらの仕事を後半3日間で一気に行うのです。
 参加生徒も最初は大体集合時間どおりに来ていたのですが、日がたつにつれどんどん到着が早くなります。そして席に着いた途端、もう作業開始です。

 後半初日(全体のスケジュールでは3日目)、夏休み期間中も素材を持ち帰り取材や編集を重ねています。そこで、午後からはある程度編集が出来た段階で、試写会を行いました。仮編集の段階なので、まだナレーションが付いていなかったり、音楽がなかったりしますが、全体の様子はつかめます。また、他校の作品の進行状況や編集の方法から、自分たちのスケジュールの組みなおしや、追加素材、編集方針の変更などを学ぶことが出来るので、仮編集の試写といえども重要なのです。試写される作品はみんなそれなりに形になっています。
 しかし…映像編集の経験が邪魔をして編集が型にはまってしまったり、知り合いがうつっていることに満足したり、第三者のみる「商品」ではなく、自己満足的な仕上がりに陥りつつありました。取材をしたのも編集をするのも自分たちですから、自分たちには十分な構成です。しかし作品を通じて、メッセージを伝えるチカラが弱いのです。作品の完成度を上げることも、実は著作権意識の向上に重要な役割を果たすのです。そこで急遽、後半2日目午前中に講義時間を設け、映像編集の指導を実行委員会の先生にお願いしました。先生はご自分で編集された作品を上映しながら、「人に分かりやすく伝えるとはどういうことか」ということを具体的に講義されました。
 この講義の後、生徒たちの編集作業にさらに拍車がかかります。自分たちの作品を改めて見直し、内輪受けになっていないか、独りよがりな説明になっていないかを考えるきっかけとなりました。この講義を境に編集がぐんと良くなりました。もっと時間があればもっと良くなったかもしれません。しかし編集も権利処理も自ら経験がないと、どんなに講義を受けても身にはつきにくいのです。今回の生徒たちも自分たちの作品を他人に指摘されることで初めて「人に何かを伝える」作品になっていないことに気がつくのです。
 後半日程も後1日です。前回書きましたようにこの時点で許諾のおりていない楽曲を抱えている学校が3校あります。作品は全校再編集真っ最中です。ジャケットデザインもまだ事務局に提出されていません。大丈夫かしら・・・?今年はフェアまで1ヵ月半しかないので、マスターから商品にする時間を考えると、ワークショップ期間中に完了しなかった場合、学校に持ち帰っての作業はかなり厳しい状況です。
 実はちょっとだけ心配していました。
 次回は、後半最終日についてご報告します。
(え)
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2006年10月19日

権利処理の結果(音楽その3)

 今回は音楽の処理の詳細、特に許諾がぎりぎりだったものと、生徒自身が交渉をしたものについてご紹介しましょう。
 使用希望楽曲のうち2曲を「著作権フリー」の楽曲を選んだ学校があったのですが、そのCDには「商用目的の場合は許諾が必要」という条件がありました。今回制作する作品は1日限りとはいえ販売する「商品」ですから、著作権はフリーではなく許諾が必要となります。著作権フリーだからと安心していて権利処理が遅れ、しかもレコード会社の最初の返答は「検討します」でしたので心配しました。そしてその2曲はまさに終了直前の試写会中に使用を許諾する連絡がありました。
 この学校は最初の希望リストは使用料が折り合わず全てNGで、代案の3曲のうち2曲が上記の作品、さらにもう1曲でも苦労していました。この1曲とは舞台劇のサウンドトラックで、作曲家は権利者団体のメンバーではありませんから、直接交渉が必要でした。ところが劇の主催者以外の情報が全くない、という非常に困難な楽曲でした。しかも作曲家はコンサートツアー中で連絡が付かない・・・。それでもあきらめず、主催者にお願いをして何とか作曲家に連絡をしてもらい、直接交渉しました。作曲家との交渉は全て生徒が頑張りました。後半二日目の朝のことです。生徒宛に電話がありました。みんなどうなるかと固唾を呑んでいましたが、交渉に臨んだ生徒はきちんと自分たちの意思を伝え、使用許諾を願い出ました。結果はOK。お忙しいところお時間を割いていただき生徒にお電話いただきました先生並びに関係各位に本当に御礼申し上げます。使用料にと作成したDVDをお送りすることになりました。

 音源CDが手に入らないというアクシデントの学校もありました。当初シングルCDを音源として申請し許諾を得ていたのですが、どうしてもシングルが手に入らないためアルバムからの楽曲使用に変更する必要がでたのです。同じ楽曲であってもシングルとアルバムではアレンジが違ったり、演奏者が違ったりすることがあります。そうすると「音楽原盤」としては別の物ですから、再度申請が必要です。そこで改めてレコード会社担当者とアルバム楽曲に差替えできるか交渉しました。こちらも生徒自ら担当者と交渉し、無事に許諾を得ました。

 通常ですと許諾されるのが難しい超売れっ子アーティストの事務所からの許諾を頂いた学校もありました。だめもとでもとにかく申請しようをモットーにトライして、見事許諾されたのですが、これも最終的な諾否の確認は生徒が電話で行いました。最初に電話を取った方はこの担当の方ではなかったらしく、ちょっとあわてましたが、この会社は情報連携が取れてたようで、すぐに理解頂き担当者にかわっていただけました。
 企業に電話するなんて、中学生にはめったにないことです。しかも自分たちの作品への使用許諾がかかっている電話です。緊張したと思いますし、無理かなとも思ったのですが、どの学校の生徒も言うべきことをきちんとまとめてから電話することで、きちんとした応対を取ることができています。このあたりは先生方がきちんと指導、サポートくださったおかげです。生徒の感想に「ちょっとだけビジネスマン気分が味わえた」というのがありました。生徒にもいい体験になったようでした。

 映像編集のクオリティが高いだけに楽曲で妥協できない学校がありました。途中いくつもNGとなってしまい、最後の最後に決めた楽曲は、レコード会社の担当者がレコーディング中で連絡が取れず、ワークショップ最終日締切りまでに返答がもらえませんでした。許諾申請をしているのは法務部ですが、法務部は現場担当者の確認を取る必要があるのです。法務担当はなんとか現場担当と連絡を取ろうと、何度も連絡してくれました。私どもにも午前、午後、夕方と「まだ連絡が取れないが、いつまで待てるか」と電話をくださいます。とうとうワークショップ終了時間になりました。それでもまだ・・・「どうする?あきらめる」ときくと、生徒は後1日待つといいます。ワークショップ終了後は商品にするためにDVDマスター原盤を作らなければなりません。その締め切りまでに原盤を仕上げてもらわないと・・・こちらもハラハラです。しかし、ぎりぎりまで粘ってついに使用許諾をいただきました。この間のレコード会社法務部の方のご尽力には本当に頭が下がる思いです。言い方は悪いんですが、「たかが生徒の作品」です。企業にしてみれば、手間のかかることです。それでもです。それでも何日もかけてこの曲を許諾してくれたのです。
 この作品に関わった生徒が、この楽曲1曲ために多くの人が動いてくれたこと、この楽曲のおかげで、自分たちの作品がすばらしいものになったことを改めて思ってくれればと思います。ちなみに楽曲許諾の条件の一つに学習レポートの提出というのがありました。このレポートを読んだレコード会社の担当者が是非作品を見たいといってくれています。ご担当の方はこの作品を見てどう思われるでしょうか・・・いつかお会いすることがあったらご感想を聞いてみたいです。

(え)

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2006年10月18日

権利処理の結果(音楽その2)

 今年の参加校は放送部が多く、放送コンクール入賞常連校で権利処理について慣れている学校もあったのですが、それでも放送コンクールと「市販商品」との権利処理の壁に苦しみました。放送コンクールでは、規定の料金設定(無償〜安価)があり、コンクールに限る使用条件での許諾が非常に容易です。申請フォーマットも整っており、このあたりは主催者の力と周到な準備だなぁと感じるところです。しかし、これはあくまでコンクールだからです。今回のイベントのように「定価をつけて販売する」ということが最終目的になれば、[一般市販商品]となり権利処理は非常に難しくなります。このことを生徒は身をもって体験しました。とにかく許諾が降りない・・・降りても1曲10万円〜ということで今回の権利処理費を大幅超過するので、使用できません。(何度も申し上げておりますが、1曲10万円は企業ユースの場合はそれほど高額ではありません。) これはいくら交渉しても仕方がないので代案を出すように指示します。
 また、CDの発売元のA社に申請をしたら、音楽原盤はB社のものなのでB社に問い合わせてくださいというのもありました。通常は発売元のレコード会社が原盤権者の場合が多いのですが、外国曲だったり、コラボレーションアルバムの場合だと楽曲ごとに原盤権者が異なる場合があります。これは外からは絶対に分からないそうで、一旦発売元のレコード会社に問い合わせなければならないそうです。これも面倒な話で、そのたびに生徒は申請書の書き直しとなります。
 それでもワークショップ後半開始までに28曲中10曲は許諾がおりました。それでも使用希望楽曲がすべてOKの学校は一つもありません。これからが3日間でどこまでクリアできるか・・・
 このような権利処理結果を踏まえて、各学校とも次々に代案を考えます。しかし曲のイメージ、映像のイメージがありますから、何でもいいというわけにはいきません。音楽によって、その映像の持つ力が何倍にもなってメッセージを伝えるのです。この楽曲を使用したいという思いは、制作者の表現したいことに直結しているのです。代案として仮申請しておいた曲の使用許諾が降りても、生徒たちは満足しません。一番使いたい曲の許諾が降りるまで待つといいます。こういう制作者の熱意には、どうしても応えたくなるのが、権利処理実務担当者の気持ちです。とにかくがんばるしかないのですが・・・相手あっての交渉です。
 結果的にはレコード会社各位のご協力により、後半差し替えの大半が後半の3日のうちに処理されました。
 この後半戦の権利処理に内容を踏まえて、次回はさらに詳細をお話します。

(え)
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2006年10月01日

権利処理の結果(音楽その1)

 映像は神戸市環境局と先に述べた特殊事情を除けば、NHK1社ですから交渉もほぼ単体で済みます。しかし楽曲はレコード会社1社ではありませんし、時間も掛かります。出来る限り後半が始まる前におおかたの処理をしておきたいと思っていたのですが、ちょうどスケジュール的にお盆休みに掛かってしまいます。しかも今年は楽曲のジャンルが幅広いので諾否の予想が付きませんでした。リリース直後の楽曲や超人気アイドルの楽曲は許諾されない(あるいは高額)と考えるのが普通なのですが、「とにかくやってみよう」がモットーなのでそういった楽曲も沢山リクエストされています。「間に合うかなぁ…」と正直不安でした。また、上記映像の件や最初に連絡をしたところで躓いたこともあって、かなり自信がありませんでした。
 終わってみれば、交渉数40タイトル強うち、使用楽曲16曲の使用となりました。半分以下?いえいえ、これは相当良い結果です。
 楽曲の使用については、作詞家・作曲家、あるいは彼らが所属する音楽出版社がJASRAC等の著作権管理団体のメンバーであれば、申請書の提出だけですから、音源CDの権利をもつレコード会社の許諾を取ればいいということになります。予め日本レコード協会の協力を得て、会員者のレコード会社各位に本イベントについてアナウンスをしていただいたおかげで、多くのレコード会社で担当者を決めていただけ、大変スムーズに交渉が出来ました。しかしいくら「教育目的」だといっても、レコード会社には通常の許諾と全く同じ手間が掛かります。しかも使用料は本当に少額にしていただいています。企業としては単純な費用対効果からすると、合理性を欠く業務でしょう。それでも多くの担当者から、「著作権意識の啓蒙のために」と言っていただき、励まされ、注意されながら一つ一つ許諾を得ていきました。全ての交渉は権利処理機構が肩代わりしていますから、このあたりは、生徒の勉強と言うよりはまさに私達の勉強です。
 もちろん、生徒には諾否だけを伝えるわけではありません。許諾された場合は、それが如何に特異なことであるか、NGの場合は、なぜNGなのか、きちんと説明しなければなりません。通常の許諾料の1/10で許諾された楽曲、今回に限り無償の楽曲、学習レポートを提出することを条件とした楽曲、クレジット表記が条件の楽曲、色々な条件で許諾されましたが、すべて、相手の方の好意の上に成り立っていること、楽曲を利用し映像作品を作る事を通して、「著作権」について理解してほしい、という期待があるということを、伝えなければならないと思っています。
 NGの場合は少し難しいかもしれません。例えば「映画のサントラはその映像作品のために作られた楽曲なので、他の映像と一緒に使ってほしくないのだ」という理由は、大変納得のいくものです。ところが「企業体制として一切NGである」という理由は少し理解するのに難しいのではないかと思います。企業の体制としてNGであるということは、それが経済原理の上に成り立っている以上、非合理的な業務は一切行わないというのは当然だということは、社会人であれば理解できるでしょう。しかし経済活動に直接には従事していない生徒にとっては、どうなのか。「人の物を勝手に使ってはいけない」といういわば道徳のように教える一方で、著作権が排他的独占的権利であるが故に、「気に入らないから使わせないのも著作(権)者の自由」という、ある種の「わがまま」、他人を思いやる必要がないという側面との矛盾、そして経済原則…。理屈ではなく心にすんなり受け入れられる理由をどう説明すればよかったのか…これは私自身の反省であり、著作権と著作権教育の問題なのではないかと思います。
 こんな事を思いながら、交渉を進めていきます。後半日程が始まれば、NGの楽曲の差し替えの交渉が待っています。しかも後半は3日間で諾否の回答を得るというまさに綱渡りです。もっともこの緊張感と、制作者の熱意が感じられることが、権利処理の醍醐味であり、私が権利処理をし続けたいと思うところなのですが…。
 次回は楽曲使用の諾否についてもう少し詳しいことをお話ししたいと思います。

(え)

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2006年09月25日

権利処理の結果(映像その2)

 前回に続いて、映像使用の許諾についてです。神戸市環境局のDVDからの映像使用についてはこんな交渉がありました。
 神戸市では最近ゴミの6分別を開始したそうです。そこで、参加した1校が「私たちのゴミ分別」と題して、ゴミ分別と地球環境についての啓蒙作品の作成に取り組みました。そこで、分別対象となるゴミの種類、分別されたゴミのリサイクルの様子等の紹介映像が必要となりました。ちょうど同市でも分別の啓蒙映像作品を作成していましたので、そこから映像の借用を考えました。また、ゴミ分別の象徴としてのマスコットも使用したいと考えました。
 映像自体はすでにDVDを借りてきていましたが、視聴のためであり、映像を使用するということは伝えていません。そこでまずは映像を貸し出している課に連絡をします。そこで、当該映像の管理局をおしえていただき、改めて同局と交渉をしました。窓口では大変丁寧に対応して頂いたのですが、映像の借用というのは初めてのことだということで、いったん検討すると言うことになりました。さらに、使用したい映像が3種類あったのですが、それぞれ管轄が違うと言うこともわかりました。そこで改めて各管轄に連絡をします。しかもちょうどお盆のお休みの頃でしたので、連絡が間に合うか等かなり心配しました。
 結果は、教育目的であるということと、「ゴミ分別啓蒙作品」ということで、使用許諾を頂きました。さらに、映像を使用するためのDVDも貸していただきました。
 キャラクターについては、例えば「市と市が指定する第三者による使用を認める」等の契約があれば、市からの許諾だけで使用できますが、そうでなければ、デザイナーさんをご紹介いただき、使用に付交渉という手順を踏みます。今回は確認いただいたのですが、キャラクターデザインを依頼したデザイナーさんとの契約内容から、許諾は難しいということで、時間的制約もありましたので使用しないことになりました。
 また、分別されたゴミを回収し清掃局で処理をしている映像については、個人のプライバシーについて留意する事という条件がありました。市の啓蒙DVDでは撮影を許可した個人であっても、その映像が他で使用されることについてまで許諾しているわけではありませんので、個人が特定できるような映像使用をしないということは当然に厳守しなければなりません。うっかりすると「市に広報DVDなんだからいいんじゃいか」と思いがちです。恐らく公共放送の番組が自由に二次利用できないのはおかしいと思いたくなるのと同じだと思います。しかしこれらはあくまで「市の広報」「放送」ということだけを許諾しているのであり、それ以上の利用については改めて協議が必要なのです。その意味では、映像利用の方法として全く同じステップになります。
 一部後半ワークショップ中にも交渉が続いたところもあるのですが、映像については、ほぼ後半までにそろえることが出来ました。
 難関は音楽です。
 次回はこの楽曲の使用許諾についてお話ししたいと思います。

 (え)

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2006年09月24日

権利処理の結果(映像その1)

 これまでにも何度か記載しておりますが、著作物を利用する場合は、先に許諾を得る必要があります。おおよその作品構成が決まれば、使用したい楽曲や挿入したい映像等が絞り込まれてきます。この時点で申請するのが理想です。編集が終わらないと秒数や使用著作物が決定しないという意見もありますが、そもそも他人の著作物を利用するのですから、利用前に許諾を取るのが当然ですし、編集終了後の使用はそれこそ「無断使用」に該当します。この点を勘違いしている人は未だに多いので、改めて述べておきます。

 さて、ワークショップでは前半に使用を希望する著作物についてリストをもらっているのでそれらについて順番に処理していきます。今回は映像借用に付いての許諾状況をご紹介しましょう。
 いきなり「映像を挿入しなさい」といっても、なかなか難しいものです。そこで、ワークショップでは作品シナリオから使用しそうな映像というのを予測し、それに見合う映像を予め集めておき、そこから選択させるという手法をとっています。もちろん自分たちで使いたい映像がある場合は、それを申請してもらってもかまいません。
 通常、「映像の借用」は元素材からの利用が原則です。DVDの映像でも、元々が放送番組であれば、元々の放送番組素材から使用ということになり、放送局(場合によっては制作会社)から素材を「切り出して」もらうということになります。
 映像提供を依頼する際は、使用映像が確定している場合は番組名と映像の詳細を、そうでない場合は、キーワードを提示して、それに見合う映像をいくつか探してもらい、実際に自分で映像を確かめて(試写)使用映像を決定するというステップを踏みます。
 使用させる映像は、昨年同様NHK保存映像から選択することとし、予めNHKと使用料、素材提供方法等を協議しました。本イベントにご理解を頂き、映像利用に付、格段のご配慮を頂きましたこと、並びに、本来なら1週間以上掛かるこれらの仕事を、3日で完了してくださったご担当者様にこの場をお借りして改めて御礼申し上げます。
 協議が整ったところで、キーワードと使用意図を説明して、番組選択を依頼します。番組選択をお願いしたのは、権利処理と素材選びの「プロ」の方で、30本近い番組を選んでいただきました。さらに選択された30番組の試写テープを(早送りですが)全て確認し、使用しそうな場面を抜き出していきます。最終的に10番組にまで絞り込み、30分くらいの映像を抜き出しました。
 結局使用したのは4番組から10シーン、使用秒数は5校まとめて125秒でした。映像は使用秒数が確定してから、つまり編集が終わってから1週間以内程度に「使用報告書」を提出して申請確定となります。
 このように映像はNHKから既に「第三者の権利の介在しない映像」を選択していたので、特に処理の必要がないはずでした。ところが、選択した映像の一つが報道用に取材した映像で、報道目的以外の使用の場合には取材元の許諾がいるという連絡が入りました。そこで、当該の会社に連絡をしたところ、報道以外の使用は一切認めていないとのことでした。会社の方針として「報道利用のみ」可、その他二次利用不可というのであれば仕方がありません。ただ、今回のような「権利処理」から「権利」を学ぶというカリキュラムでは、ワークショップで参加者に映像使用の諾否を知らせる必要がありますし、(是非はともかく)企業におけるスタンスとして、目的の如何(教育目的であっても)にかかわらず外部利用を認めないというのは当然にあり得るのだということを理解することも大切です。そのことを説明するためにも、申請書にNGと書くだけでもいいので書面をもらえないかと交渉したところ、けんもほろろに断られてしまいました。また、別の会社ですがワークショップ参加校の生徒が出場していた競技会の模様を取材したニュース映像の借用を依頼した会社についても、同様の対応でNGとなりました。
 余談ではありますが、いずれも報道関係の部署であったことと、利用できないことよりも、この様な対応を容認している企業姿勢が残念でなりません。教育目的だからということで甘えるつもりはありませんが、「そのようなことをするメリット(理由)は我が社にはない」という姿勢は、「報道」という「社会正義」に携わる者としてどうなのでしょう。

 さて、NHK以外の映像使用希望は、先のニュース以外に神戸市環境局の制作したDVDからの借用希望がありました。こちらについては次回お話ししたいと思います。

(え)
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2006年09月03日

後半までの2週間〜権利処理開始!

 前半と後半の間は、権利処理の仮申請・仮許諾を行う期間です。このワークショップでは、参加者が権利処理を実際に行うことを目的としていますが、そうはいってもいきなり「権利処理をしなさい」といっても無理なことです。それこそ中学生や高校生は企業に電話をかけることすら経験したことはなく、権利者に自分たちの目的を告げ、使用に付交渉する…というのはいきなりは難しいでしょう。そこでこのワークショップでは「権利処理機構」というものを開設し、参加者はいったん著作物の使用希望を機構宛に提出することとしました。機構はそれを受けてレコード会社や各権利者に連絡し、申請書を送付します。以上の仮申請・仮許諾を経て、後半のワークショップで諾否について各グループと話し合い、使用するものについては本申請書を記載し、機構に提出するという手順をとります。従って原則対外的な交渉は全て機構が窓口となり執り行います。
 後半カリキュラムのご紹介の前に、機構の交渉の様子を中心に、権利処理の仮申請・仮許諾の様子を数回にわたりご紹介します

 ワークショップの前半では一旦固まったシナリオや構成に従って、使用したい著作物を仮で決定しました。さらにこの2週間で、作品の構成を練りなおしたり、取材に行ったり、新たに使いたい著作物があった場合に権利処理機構に申請するなど、後半の編集活動に向けての準備を行いました。
 権利処理機構は、前半終了時に提出された「著作権台帳」を元に、レコード会社の音源使用の交渉、映像使用の交渉、映像素材のコピー等に追われます。借用使用についてNGだった場合は、直ちにワークショップ専用ポータルサイトの各学校掲示板に記載し、代案をお願いしなければなりません。とにかく時間が限られている上に、お盆休みも挟みます。前半終了からは忙しくなっていきます。

 交渉の手順はおおむね次のようなものです。
 1 各学校の台帳を元に連絡先、使用内容を会社ごとにまとめる。
 2 会社の連絡先を調べる。直接の部署がわからない場合は、ネットで会社のHPから会社概要を参照すると、大代表が出ていますので、そこに連絡する。
 3 このイベントの趣旨等を説明し、使用について交渉する。
 4 依頼に応じて、申請書、企画書、協力依頼書をFAXする。
 5 必要に応じて説明を補足する。

 先回にも触れましたが、使用許諾をもらうのに今日交渉して明日には返事を下さい、というのは相手には失礼なことですし、非常識でもあります。しかし本ワークショップは前半終了後から後半終了までの非常に限られた時間の中で使用申請をし、作品の制作し終えなければなりません。
 そこで、権利処理機構は、あらかじめ各権利者団体に協力をお願いしておきます。音楽については、JASRACが最も管理楽曲数が多いので、おそらく生徒の使用希望楽曲もJASRAC管理だろうと予測し(去年はイーライセンス管理の楽曲の使用希望があり、私も初めての申請を体験しました。)、あらかじめJASRACに対し、ワークショップの内容、イベントの趣旨をご説明し、協力依頼をしました。またレコード協会には会員各社宛に事前のアナウンスをお願いいたしました。
 このレコード協会からのアナウンスのおかげで、各レコード会社とも本ワークショップ用の担当を立てて頂け、大変スムーズにお話しすることが出来ました。どの担当の方も私どもの活動に大変理解を示して頂き、こちらの無理なお願いをかなえてくださいました。楽曲の担当者がレコーディングで終日外出のところを、2日にわたって追いかけて、使用許可を取ってくださったり、感謝しても仕切れないほどのご対応をいただきました。
 権利処理をしていて一番うれしい瞬間はもちろん許諾が取れたときですが、相手の方と同じ方向を向いて仕事が出来たときと、制作担当者が交渉相手に感謝をする瞬間にも、この仕事をしていてよかったなと思います。自分たちだけではない、相手の協力があるから作品が出来るのだということに気がついた担当者は必ずいい作品を作り上げるものです。
企業にいると許諾されることが当たり前であったり、逆に許諾しないことが当たり前であったり、経費をかければどうにかなる、あるいは経費をかけたくないから回避するという思考に陥りがちです。経済活動としては合理的な思考かもしれません。でも「許諾」を取る意味、著作権法の目的とするところに立ち戻ると、そこに相手への感謝というものを忘れてはならないのではないかと思うのです。文化はけして一人では成り立たないという大きな視点から、製作者(制作者はどちらかというと、ご理解いただけることが多い)は一度「創作」ということを考えることも必要なのではないでしょうか。

 この様なことを感じながら後半までの2週間を権利処理に費やしました。もっとも後半ワークショップ中も交渉は引き続き行われているのですが…
 次回からは、権利処理の結果について、まだ、交渉過程でどのようなことがあったのかを報告していきたいと思います。

(え)

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2006年08月10日

ワークショップ開始!!前半二日目 その2

前回に引き続き、ワークショップ前半2日目の様子です。映像編集の講義の裏で行われた先生対象の「著作権処理の実務」についてご紹介いたします。といってもここでは、これから生徒が作品を作って行くに当たって、どのような点に注意すればよいか、権利処理を始めるに当たって必要な情報は何かということの講義で、実践は後半になります。
 「権利処理」というといかめしいし、ややこしそうなんですが、フレームは至ってシンプルです。
 1.著作者を探す
 2.著作者が権利者団体に所属する場合は、申請書を提出。
   所属していない場合は、個別に交渉。
 3.OKされたら、使用料を支払う。無償の場合もある。
4.利用する。
この手順だけです。
この手順については直前の「権利処理WHYとHOW」で説明していますので、先生方にはもうちょっとつっこんだ内容をご紹介しました。先生方が学校で権利処理をするときにそのまま応用できるにはどうしたらよいか…。世の中にはあまたの著作物がありますから、それに応じたここの事象は対応できません。そこで、恐らくもっとも身近でもっとも利用したいと思い、かつ権利処理の体系が整っている著作物というと音楽になりますから、話の中心も「CDから楽曲を映像作品のBGMに使用する」という場合を中心に、映像の借用、それから肖像権についての実務的な作業を説明しました。
まずは音楽と映像の著作物に特異な条件です。
(1) 音楽の著作物の利用・・・映像のBGMに使う場合。
  楽曲の権利について調べるのに便利なJ-WID,音楽の森については、生徒対象の講義でも紹介しましたが、先生方にはさらに検索結果の見方についても解説しました。
 音楽の利用で忘れがちなのが、使用楽曲の収録されているCDの音源の処理です。「音楽ってJASRACでしょ」と思われる方も多いと思いますが、JASRAC等の「権利者団体」が許諾できるのは、楽曲の作詞と作曲、つまり音楽の著作物の部分だけ、演奏されている「音」の使用については、レコード会社に権利があります。レコード会社は著作隣接権者として、原盤の使用諾否の権利を持っています。
 楽曲を映像のBGMに使用するときは、さらに「どのような場面のBGMに使用するか」というのが大切になります。映像と音楽の組み合わせは、人に与える印象を全く異なるものにする力があります。従って楽曲をBGMに使用する際にはどのような使い方をするか、どのような場面に使用するかまで考えておく必要があります。
 交渉の前にあらかじめこれらの情報をきちんと収集し整理しておく事が必要です。
(2)映像の使用
 映像の借用は難しい、高いというのが一般的です。映像を使用したこと(特に放送局から映像を借用した経験)のある人)「なぜあんなに高いのか」と思われるかもしれません。 それにはかなり合理的な理由がありますが、それはいずれどこかでお話しするとしましょう。ただこれも交渉の余地のあるものです。
 映像の使用について注意が必要なのは、それが放送番組であった場合「放送番組」も著作物、番組を構成しているここの素材も著作物である可能性がある、つまり中身と器について両方権利処理の対象である可能性があるということです。例えば、ドラマがわかりやすいでしょう。「ドラマ」全体も一つの著作物(映画の著作物)ですが、ドラマを構成しているのは、原作・脚本・音楽・出演者等々です。ドラマ自体は制作した会社に権利がありますが、これらの方々の権利まで制作会社は許諾を出すことができません(出演者については可能な場合もあります)。
(3)肖像権
 肖像権は実は事前の説明会のときにお話をしています。
プライバシーについては学校では非常に厳しい取り扱いをしているので、取りこぼしはないとは思いましたが、撮影や編集に携わっている本人はついそちらに集中して、個人が特定できるような映像でも見落としがちになります。また俯瞰だからと油断することもあります。先生方には十分留意して頂けるようお願いしました。

 先生方は熱心で、質問も出ました。この講義の後、午後からはグループワークで使用する楽曲や映像の選定をします。なかなか学校ではこういう実践的な権利処理は必要性が薄いのですが、ワークショップ前半終了までに権利処理台帳をつくらなくてはならないので、具体的な質問もありました。
 後半のグループワークで先生が生徒にJ-Widの見方などを指導していたのを見かけました。講義の成果だとうれしいです。
 
 今年は前半2日目で編集や構成、借用著作物について非常に活発な活動が見られました。ものすごい熱気です。権利処理機構には次々質問が来ます。改めてCDを見直して、レコード会社が分からなかったり、レコード番号が分からなかったりと、実務を通して始めて気が付くこともあるようです。それでも著作者がJASRAC会員か否かはみんなきちんと調べてきたの、大変助かりました。

ようやく前半のレポートが終わったと思ったら、もう来週は後半です。
この間並行して権利処理を行ってきましたが、会社によって担当者によって対応様々です。このあたりも報告していきたいと思っています。

(え)
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