2006年07月26日

権利処理あれこれ〜その2.窓口を一本化すること

 どんなことでもそうですが、人にものを尋ねるときというのは緊張するものです。道を尋ねるのだって知らない人に尋ねるのは多少の抵抗がありますし、初めてのところや自分でもどういっていいのか分からない内容のときはなおさらです。自分の言いたいことを相手に理解してもらえなかったり、尋ねた相手がその担当ではなかったりすると、たらいまわしにされ、本当に交渉しなくてはならない相手にたどり着くころには、疲労困憊してしまいます。
権利処理というのは、まずは権利処理の必要性の判断、必要な場合の手続き方法、経費等々について聞くところからはじめなくてはなりません。さらにそこから利用についての交渉をしなくてはいけません。しかし、その最初のところ、尋ねるにあたって誰に尋ねたらいいかわからないという大問題があります。音楽ならJASRACと思うかもしれません。新聞なら新聞社、書籍なら出版社、・・・のどこ(どの部署)に連絡すればいいでしょう?代表に電話すれば、何の件かということを説明しなくてはなりませんし、代表が回した先が必ずしも担当部署でないこともあります。そうすると又一から説明のしなおしです。
 結局、権利処理のハードルを高いものだと思わしめている要因のひとつは、この「誰に聞いたらいいかわからない」ということではないかと思っています。また、そのようなご意見は以前の調査でも多く見受けられました。

 そこで、ワークショップではすべての権利処理の窓口を一本化することを試みました。まずは「権利処理機構」という集中権利処理を行う窓口を置き、権利処理に関係するすべてを「権利処理機構」で扱うことにしました。生徒から使用希望の出た素材等については、「機構」が一括してすべて交渉し、参加者の著作物利用に対して包括的な権利処理体制をとることとしました。但し申請書は当該生徒が雛形に沿って作成します。
この「機構」により、権利処理方法が分からなくても、生徒は「機構」に相談することで、利用に関するアドバイスや申請方法を学ぶことが出来ます。また、「機構」において、許諾申請の漏れがないように配慮することができるのです。
 さらに、スムーズな申請、交渉及び質問等が分散しないように、権利者団体、レコード会社等の各位に依頼し、本ワークショップの交渉担当者を事前に決めて、「機構」との対応を1 対1対応としていただきました。これで権利者側の回答の遅延、申請者側の質問の重複等を防ぐことが出来ますし、生徒には、権利者に直接問い合わせしなくてすむので著作物利用に対する不安、ストレスを軽減するのです。これも権利処理のハードルを低くするひとつの方法ではないかと思います。
 今年のワークショップもこの方法を踏襲します。去年と大きく違うところは、先生方にこの「機構」のお仕事をお手伝いいただくことです。そうすることで、先生方に権利処理のノウハウ(コツ)をつかんで頂けるようにしたいと思っています。

(え)
posted by 著作権イベント実行委員会 at 12:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 権利処理実務

2006年06月26日

権利処理あれこれ〜その1.雛形が必要であること

 そろそろ今年のワークショップの詳細な準備に取り掛かる時期になりました。昨年はある程度の予想を立て、各権利者団体、企業等へ事前交渉をしていたのですが、それでも突然発生する出来事に大慌てしました。今年はその教訓を生かし、申請書類の整理整頓も含めて事前に対応できるものはこまめに作っておこうと思っています。

 昨年の参加生徒の感想には、著作権処理は大変だという感想とともに、「普通では体験できないこと」として、申請書や許諾書の書き方、礼状の書き方などの指導を上げている生徒がたくさんいました。申請書等の記載事項の説明もあわてたもののひとつでした。
 よく考えれば、会社の業務でもいきなり「これの申請許諾書作って」といわれたら戸惑うでしょう。業務内容と必要事項がわかっていなければ、相手に何をどう説明し、何の権利についての許諾をもらうのかわかりませんし、見たことなければ形式すらわからないかもしれません。時候の挨拶を入れるのか、返信用封筒を入れるのかなど考えればわかるのかもしれませんが、経験がないのに想像力だけでそれらを補うことは出来ません。まして、中高生です、わからなくて当然ですよね。ワークショップ途中であわてて申請許諾書の雛形を作成し、記載すべき事項の解説をしました。
 申請書において重要な点は
 [1] 自分たちが何者で何をしようとしているのか
 [2] 許諾を求められた相手は、何をしたらいいのか
が、即座にわかることです。そして、さらに親切なのは、書面の場合は署名捺印だけすればいいようにあらかじめ許諾書も準備しておくこと、そして返信先を記載した封筒を同封することです。本当に当たり前のことなんです。言われれば、あ、そうだよねと気が付くし納得も出来ることです。大切なのは、実際に記載してみるという体験なのです。
 ある意味においてこれは「甘やかしている」ことですし、必ずそのフォーマットに則らなければ記載不備で受理されない(形式審査的な)ものでもないのですから、任意の形式にしておけばいいのかもしれません。しかし私はなるべく使いやすい環境というのを提供したいと思うのです。めんどくさいでもややこしいでも理由は何でもいいけれどとにかく権利処理を敬遠するというのなら、まずはその敷居を下げてやることが大切なのではないかと思うのです。そういうところから(他人の)著作物への理解を広めていってもらえればと思います。実際申請書に記載する「作品の概要」等の記述はすべて生徒に任せたのですが、どのグループも非常によくまとまった文章で、頂いた方も気持ちよく許諾できるのではないかと思いました。
 また、今年は権利者団体等の既成申請書(楽曲の使用など)についても、記載例を作成しようと思っています。
 一定情報と環境を整えれば、難しい法律論の理解ではなく、もっと身近に著作物を理解できるのではないか、今年もそう思って取り組んでいきたいと思います。

(え)
posted by 著作権イベント実行委員会 at 12:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 権利処理実務